16、17日に行われる福井県小浜市の放生祭で運行されてきた同市清滝区の山車の修繕が完成し3日、同区でお披露目された。神事を営み運行の安全を祈ったほか、区民がおはやしを披露した。同祭の中で最古とされる絢爛(けんらん)豪華な山車が、約150年ぶりの修繕で美しくよみがえり、区民たちが喜びに浸った。
同区は小浜港付近に位置し、海の玄関口の商人町として栄えた。同区の山車は旧町名から「大津町山車」と呼ばれる。
江戸時代に使われていた山車は1853(嘉永6)年の大火で焼失。現在のものは1868(慶応4)年に建造された。柱や屋根には漆塗りに金色の金具が施されている。また優美な彫刻や見送り幕、横幕で飾られている。
約150年がたち漆塗りがはげ、真ちゅう製の飾り金具も劣化。車軸のゆがみも生じていた。修繕には多額の費用がかかるため、何年もかけ区民からの寄付を積み立てた。市の助成金も受け昨秋、「平成の大修繕」として滋賀県長浜市の職人に依頼。今年3月に完成した。
修復の観点から漆は光沢が出るほどには塗らず、美しいながらも年月を経た渋みを醸し出している。あちこちに取り付けられている飾り金具は磨かれ、金色の光沢を取り戻した。
同祭りで同区は今年、2年に1度の出番年に当たる。区民たちはお盆明けからおはやしの練習など準備を進めている。
この日のお披露目には区民ら約30人が出席、神事を営んだ。着物姿の男衆が修繕したばかりの山車に乗り込み、太鼓やかねによる伝統のおはやしを披露した。
大津町山車保存会の堀口久生会長は「念願だった修繕が実現した。いつまでも大事にして後世に伝えていきたい」と話していた。