考古資料やパネル解説で泰澄大師11の謎を解き明かす企画展=福井県越前町の織田文化歴史館

考古資料やパネル解説で泰澄大師11の謎を解き明かす企画展=福井県越前町の織田文化歴史館

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泰澄の実像に迫る300点 越前町織田文化歴史館で記念展

福井新聞(2017年11月8日)

 白山開山1300年を記念した企画展「異人探究 泰澄十一の疑問」(福井新聞社後援)が、福井県越前町の織田文化歴史館で開かれている。謎が多い奈良時代の修行僧泰澄大師の実像に迫ろうと、本年度本格化させた考古資料の再検証成果を一堂に披露。学芸員の視点で詳しく解説している。26日まで。

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 担当したのは泰澄について20年余りにわたって研究を続けている堀大介学芸員。泰澄が少年~青年期に修行したとされる同町の越知山山麓や周辺地域を中心に、発掘調査で出土した遺物や寺社の仏像などを再調査した。

 県内外の博物館などから借り受けた資料も含め泰澄に関連する約300点を出展。同町大谷寺の林光寺本尊で平安末~鎌倉初期の作とされる「阿弥陀如来立像」が初公開されるなど、古代~近世の貴重な資料が並ぶ。

 展示は、泰澄に関する11の謎を提起したコーナーを設け、出品物や解説文を通して解き明かしていく構成。第1の謎「泰澄は実在したのか」のコーナーでは、「泰澄」という人物の名が奥書に記された奈良時代の経典「根本説一切有部毘奈耶雑事(こんぽんせついっさいうぶびなやぞうじ) 巻第21」(宮内庁書陵部蔵)を出展。泰澄伝説の基となっている泰澄和尚(かしょう)伝記の写本などと比較検証した。「この(編さん)事業に関わった泰澄は、伝記に描かれた人物像を思わせるものを十分に備えていた」と解説している。

 泰澄を巡っては正史に登場しないことなどから架空の人物との説や複数人物の集合体といった説が根強い。堀学芸員はこの20年間に越知山や周辺地域で泰澄の存在を思わせる考古資料が数多くそろってきたとして「実在性が補強されつつある」と指摘している。

 また泰澄没後の9~10世紀、越知山と白山を結ぶライン上で、この二つの霊峰を一体的に拝む信仰圏が形成されていたとする独自の説をパネルで解説。ライン上の福井市朝宮町の丘陵で見つかった大規模な山林寺院跡を示す平たん面についても、出土品とともに紹介している。

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 越前町織田文化歴史館の企画展「異人探究 泰澄十一の疑問」では、開催に向け同館の堀大介学芸員が県内外の研究者と連携し泰澄大師ゆかりの遺跡や遺物を再検証した結果、福井市朝宮町の山林寺院跡以外にも新発見の考古資料が見つかり、展示で紹介している。

 その一つが、泰澄が晩年を過ごしたとされる山林寺院跡「大谷寺遺跡」(同町大谷寺)で2005年に出土した9世紀後半~10世紀初頭の須恵器の杯。底面の墨書について古代文字の第一人者平川南氏(山梨県立博物館長)に鑑定を依頼したところ、「鴨家」の可能性が高いと判読された。

 堀学芸員は、「鴨」が律令制下の行政区画として丹生郡にあった郷の一つ「賀茂郷」を示す可能性があると分析。賀茂郷は、賀茂神社や古代の集落跡「鐘島遺跡」などがある旧清水町の山間部と推定されてきたが、隣接地での今回の発見はその存在を裏付けるものになりそうだという。

 旧清水町史に詳しい日本考古学協会の埋蔵文化財保護対策委員古川登さん=福井市=も「鴨家は賀茂郷の役所(郷倉)を示す」と指摘。「大谷寺遺跡が賀茂郷の中にあった可能性があり、この杯は人が持って(郷倉から寺へ)移動したのではないか」と推測する。堀学芸員は、さらに詳しく調査する方針だ。

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