遊歩道の完成を記念し、巨大な天然杉を観察する参加者=阿賀町中ノ沢

遊歩道の完成を記念し、巨大な天然杉を観察する参加者=阿賀町中ノ沢

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阿賀・中ノ沢渓谷森林公園 巨大杉観察道が完成

新潟日報(2018年6月12日)

 阿賀町中ノ沢の中ノ沢渓谷森林公園に、四季を通じて巨大な天然杉を観察できる遊歩道が完成した。中心となったのは、中ノ沢で木工に携わる明石浩見さん(56)らが2004年に設立したNPO法人「お山の森の木の学校」。新潟大生や地元住民らと協力し、15年から3年がかりで整備した。記念観察会に集まった関係者は早速散策を楽しみ、完成を祝った。

 公園には天然杉が各地で見られるが、同法人代表の明石さんと、メンバーで森林インストラクターの山田弘二さん(60)が15年2月に未整備エリアを調査。巨大な天然杉を数本発見し、遊歩道整備を企画した。

 地上数メートルで複数の枝が幹となって伸びているのが特徴で、山田さんは「伐採など人の手が加わったためと考えられる。人と樹木が共生してきた価値を伝えたいと思った」と話す。

 これまでも公園内に遊歩道はあったが、天然杉を見るために約250メートルの整備が必要になった。新大農学部の学生が実測し、階段や橋などの設置を提案した。

 伐採で出た枝材、階段に敷く岩石など材料は現地で調達。沢を渡る丸太橋にはクマが傷つけた木を使い、滑りにくいように金網を巻くなど工夫した。幹回りが11メートル超ある「千年台杉」の前には、丸太のベンチやテーブルも設けた。

 5月に開かれた完成記念イベントには約40人が出席し、山田さんのガイドで観察会も行われた。1時間半ほどの行程で、作業に携わった人たちは「冬を越して階段もなじんできた」「いい道になったね」とうれしそうに散策した。

 新大生時代に測量した新潟市西区の会社員(23)は「泥まみれになり天然杉まで歩いたのを覚えている。歩きやすい道を作ってくれて感動した。地域の活性化につながってほしい」と話した。

 今回の遊歩道は樹木への影響を考慮し、同法人が開く観察会の時に限り開放する方針。地元の宿泊施設や木工体験施設と連携し、泊まりがけで中ノ沢を満喫できるプランを計画している。明石さんは「阿賀町にある国の天然記念物『将軍杉』のように、次世代を呼び込む場所にしていきたい」と抱負を語った。

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