石川県漁協は県産ズワイガニの雄「加能ガニ」のうち、独自基準を満たしたものを最高級品として認定し、「輝(かがやき)」の名称で売り出す。これまでは各産地がそれぞれPRに取り組んできたが、県内統一の規格を設けるのは初めて。福井の越前ガニの最高級品より厳しい基準を設け、知名度が低い加能ガニの品質を広くPRする。
〈100匹程度見込む〉
「輝」には、▽重さ1・5キロ以上▽甲羅幅14・5センチ以上▽全ての脚がそろっている▽甲羅が固く、実入りがいい▽鮮度の徹底▽資源管理の取り組み―などの基準を満たしたものが認定される。11月6日に解禁される今季のカニ漁から認定を始める。
重さ、大きさは越前ガニの最上級品「極(きわみ)」と同等で、さらに色や身の詰まり具合といった条件を加え、より高品質な個体を厳選する。1シーズン当たりの認定数は、昨季の加能ガニの水揚げ量25万匹の0・04%に相当する100匹程度を見込む。
かなざわ総合市場、県漁協加賀支所に認定員を2人ずつ配置して審査し、基準を満たしたカニは専用のタグ付きで販売する。「輝」の名称は、高級感のあるイメージや北陸新幹線にちなみ、漁業者の投票で決定した。
基本となる規格は、底引き網漁師らでつくる県底曳網漁業連合会が決めた。県内の底引き網の漁業者は船の大きさによって所属する組合組織が異なるが、今年9月、資源管理の推進を目的に各組織が集まる連合会が新たに発足し、石川全体でのPRに本腰を入れる。
全国のズワイガニ産地では越前ガニの極、鳥取の松葉ガニの「五輝星(いつきぼし)」など、最上級規格を設けてブランド力を上げる動きが盛んになっている。
連合会の橋本勝寿会長は、あえて全国トップクラスの厳しい基準にしたとし「めったに出ないだろうが、絶対においしい自信がある。加能ガニの知名度を底上げしたい」と期待した。
県漁協の福平伸一郎常務理事は、近年は資源管理のため漁獲量を抑える必要があることに触れ「認定には漁業者の資源管理への姿勢も条件にしている。未来の漁業を守ることにつなげたい」と話した。
〈ポスターで希少価値前面〉
〈県底曳網漁業連合会長ら本社で披露〉
県底曳網漁業連合会の橋本勝寿会長と県漁協の福平伸一郎常務理事は7日、北國新聞社を訪れ、「輝」のPRポスターや専用タグを披露した。
ポスターは「本当に居るのか?」「本当に会えるのか?」「本当に獲れるのか?」と「輝」の希少性を強調するコピーを大きくデザイン。タグには六角形の九谷焼と梅をかたどった水引飾りを使い、九谷焼の裏にオリジナルのロゴマークを記した。
★加能ガニ 2006年、県漁協の発足を契機に、加賀の「加」と能登の「能」から命名された。共通の青いタグが目印として付けられる。「加能ガニ金沢」といった産地をPRする独自のタグがつくられるなど、地域ごとに発信されていた。県漁協すず支所(珠洲市)は昨季から最上級品を独自に「特撰(とくせん)」とする取り組みを始めた。