漁具「鋤簾」で湖底をかき、シジミを採る宮田組合長=6月5日、福井県三方郡美浜町の久々子湖

漁具「鋤簾」で湖底をかき、シジミを採る宮田組合長=6月5日、福井県三方郡美浜町の久々子湖

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伝統シジミ漁、福井県美浜町の久々子湖で最盛期 汽水湖育ち、アミノ酸豊富

福井新聞(2022年6月8日)

 江戸時代以前から続く伝統のシジミ漁が福井県三方郡美浜町の久々子湖で最盛期を迎えている。同湖のシジミはうまみ成分のアミノ酸を豊富に蓄えており、砂地で育った臭みのない味が特長という。6月5日、地元の南西郷漁協による月に1度の禁漁区での合同漁があり、つやつやと光沢のあるシジミを次々採っていった。

 同漁協によると、海水と淡水が混ざった汽水域の久々子湖で採れるのはヤマトシジミ。生息地となる砂浜には泥が少ないため、他の産地と比べてくせがなくさっぱりした味という。シジミ漁は水月、菅湖などでも行われている。

 漁は5月に始まった。産卵期前の初夏は濃いうまみとぷりぷりした食感が楽しめるという。この日は宮田組合長ら12人が腰まで水に漬かり、熊手の先に籠を付けたような漁具「鋤簾(じょれん)」で浅場の湖底をかいた。湖面に浮かべたザル「とおし」にシジミを放り込み、砂をふるい落としたり小さなシジミは湖底に戻したりしていた。2時間の漁で計60キロ余りが採れた。

 今年のとおしは昨年より1ミリ幅の広い12ミリの目を施し、資源確保に向けた取り組みを強化。同漁協はこのほか、1週間の漁獲量を一人あたり30キロ以内に制限したり、普段の漁場とは別に4カ所の禁漁区を設け、毎年解禁する区を変えたりしている。三方五湖の他の伝統漁法とともに、日本農業遺産に2019年に登録された。

 同漁協は年間3トンほど漁獲しておりほとんどは組合員で消費するが、町健康楽膳拠点施設「こるぱ」などで味わうことができる。宮田組合長は「汽水湖で育ったアミノ酸豊富なシジミをぜひ食べてみて」と話していた。漁は11月まで続く。

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