昔ながらの庭園でゲストハウスへの思いを語る上松さん(左)と上林さん

昔ながらの庭園でゲストハウスへの思いを語る上松さん(左)と上林さん

長野県 伊那路 その他

古民家改装、宿泊施設に 飯田の上松さん、築300年の母屋など

信濃毎日新聞(2016年7月14日)

 飯田市下瀬の上松妙さん(61)が、自宅の古民家を改装して「ゲストハウス下瀬アゲマツ」をオープンした。上松家はかつて一帯の庄屋を務めた家で、築300年ともいわれる本棟造りの母屋や重厚な門構えが特徴だ。両親が10年ほど前に亡くなってから、フランスと東京を行き来して生活していた上松さんが活用方法を考えていた。歴史ある家をもう一度、人と文化が交差する場にしたい考えだ。

 上松家は、大きな門やいくつもの土蔵を備えた延べ床面積約700平方メートルの屋敷。市歴史研究所によると、母屋の建築は推定1700年代。蔵には近世初期から明治初期までの古文書が残る。近世には阿智川で材木を集材する権利を持ち栄えたという。

 上松さんは高校卒業後、「より大きな世界を見たい」と渡仏。フランス人男性と結婚し、フランス南東部の都市ニースと東京を行き来する生活を送ってきた。両親が亡くなって飯田に通ううち、パリに住む娘から、若者の間でベッドと朝食を提供する「B&B」という宿泊施設がはやっている―と聞き、趣きある建物を生かそうと思い立った。

 改装は業者の他、簡単な造作などは知人で市内の洋画家、上林泰平さん(30)の助けも借りて作業。中二階に本棚を設け壁一面に小説や美術書などを並べた「図書蔵」、2階建ての米蔵、茶室の3カ所を宿泊部屋とし、広い母屋や日本庭園も自由に使えるようにしている。

 これまでにも上松さんの友人が家に泊まってソバ栽培、リンゴ狩り、川遊びなどを楽しんでおり、上松さんは「川霧の美しさなど、南信州のありのままの良さを伝えたい」。今後は遊休農地を使った花の栽培や、芸術家にギャラリーとして開放するなど「文化的な活用も展開したい」と夢を広げている。

 宿泊は1人当たり一泊5900円。問い合わせは上松さん(電話090・4740・2501)へ。

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