伊那市と飯田市、大鹿村、富士見町にまたがり、貴重な地質や地形が見られる「南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク」について、「日本ジオパーク」としての再認定に向けた現地審査が31日、2日間の日程で始まった。南アジオパークは2008年に初めて認定された。4年ごとに審査があり、前回は12年12月に受けた。この日は認定機関「日本ジオパーク委員会」の委員ら審査員3人が、伊那市や大鹿村を回った。
審査員は地形の保全状況を見て、住民参加の広がりなどを確認した。伊那市高遠町板山では、住民組織が地質が露出した「板山露頭」一帯を管理している。4市町村でつくる協議会の認定ジオパークガイド伊東基博さん(72)は、露頭や中央構造線が通る谷について審査員に説明。中央構造線を境に石の色が違い、地元では昔からどちらの石が漬物石に適しているかが話題になるなど、地質が生活に身近だったと紹介した。
審査員は「露頭の近くに(落石対策の)注意書きがあった方がいい」「看板の地名にルビを振った方がいい」と指摘していた。審査員の一人で、全国地質調査業協会連合会の成田賢会長(62)は板山露頭について「地元住民が活動している点が素晴らしい。地域密着で活動がさらに広がることを希望している」と話した。
1日は飯田市で現地審査を予定。12月に都内で開く委員会で再認定の可否が決まる。審査員によると、認定が取り消された例は過去にないという。