見つかった欄間を眺める南部さん(右)と吉澤住職=浄光寺

見つかった欄間を眺める南部さん(右)と吉澤住職=浄光寺

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"住宅欄間の父"の大作発見 砺波の浄光寺

北日本新聞(2017年5月6日)

 井波彫刻の住宅欄間の父とされ、明治~大正期に活躍した初代大島五雲(ごうん)(1861~1937年)が手掛けた欄間が砺波市東保の古刹(こさつ)、浄光寺で見つかった。発見したのは南砺市井波の彫刻家の南部白雲(はくうん)さん(65)で、祖父の初代白雲(1885~1962年)は五雲の弟子。欄間は「松竹梅」をモチーフにした連作で、五雲の欄間では大作に位置付けられる。南部さんは「祖父も制作に関わった可能性がある。対面できてうれしい」と話している。 

 初代五雲は、近代井波彫刻の基礎をつくった番匠屋(ばんしょうや)12代田村与八郎守貞(もりさだ)に師事。それまで井波彫刻は寺社彫刻が中心だったが、五雲は住宅に欄間を取り入れ、井波彫刻が普及する礎を築いたとされる。城端や八尾の曳山(ひきやま)の装飾も手掛けた。初代白雲は五雲に弟子入りし、井波別院瑞泉寺の太子堂再建などに貢献した。

 見つかった作品は2組で、ともに縦約50センチ、横約450センチ。それぞれタカがたたずむ松、梅の木や笹が彫刻で表現されている。計4カ所に「五雲」と記されており、松葉の細かな刻み方や空間の使い方に名工の技が感じられる。南部さんによると、明治時代中期の作とみられ、「現存する五雲の欄間は多いが、ここまで大きな作品は見たことがない」と言う。

 南部さんは親交があった浄光寺の吉澤邦麿住職(78)から寺号の額の制作を依頼され、昨年11月に同寺を訪れた。射水市の門徒の男性から寄進された欄間を見てほしいと吉澤住職に頼まれ、作風と名前から五雲の作と確認した。南部さんは「祖父の師匠の作品を私が見つけるとは思わなかった。運命的な縁を感じる」とし「貴重な作品が残っていて感慨深い」と話す。

 欄間は南部さんが手入れをして同寺の客殿に取り付けた。希望すれば誰でも見ることができる。吉澤住職は「歴史ある名品を見て、安らぎを感じてほしい」と話している。問い合わせは同寺、電話0763(37)0168。

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