約2年がかりで制作した「さんしょううお」の完成公演。大掛かりで鮮やかな舞台となった=3日

約2年がかりで制作した「さんしょううお」の完成公演。大掛かりで鮮やかな舞台となった=3日

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「さんしょううお」息のむ迫力 飯田で完成公演

信濃毎日新聞(2017年8月4日)

 飯田市などで開催中の「いいだ人形劇フェスタ2017」で3日、NPO法人いいだ人形劇センターが約2年かけて制作した巨大人形劇「さんしょううお」の完成公演が、飯田文化会館(同)であった。主に飯田下伊那地方の中学生から60代までの約30人が演者、スタッフなどとして参加。水中で暮らす生き物たちが躍動する軽妙な舞台に、観客は夢中になった。

 池の中の洞穴に突然現れて水中生物を食い荒らす巨大なサンショウウオを、エビやイワナ、カニなどが岩で閉じ込め、平和を取り戻そうと奮闘する物語。天井に布を垂らして池の雰囲気を演出し、生演奏と歌、踊りを盛り込んだ。

 水中生物がゆらゆらと泳ぎ回る優雅な場面から一転、全長5メートルのサンショウウオが勢いよく登場し、生き物をのみ込む場面は、800席をほぼ埋めた観客も息をのむ迫力。約30分の公演が終わると、大きな拍手が何度も起きた。

 タニシを演じた下伊那郡阿南町の阿南高3年、玉置彩さん(17)は「本番前は緊張したけれどお客さんの反応がうれしく、楽しくなった」。観劇した市内の田間寛之さん(41)は「地元の人が頑張っている姿を見て自分もやってみたくなった」と話していた。

 巨大人形劇は、飯田ケーブルテレビ社員の後藤康介さん(35)が3年前、同センターが開いた人形劇のワークショップ(体験型講座)に参加したのがきっかけ。「インパクトのあるものを作って人形劇に興味がない人を引きつけたい」と考え、井伏鱒二の小説「山椒魚(さんしょううお)」を基に提案した。

 2015年秋、同センターが参加者を募って人形制作を開始。昨年のフェスタでは、屋外で物語の冒頭だけを披露した。その後も協力者を集め、それぞれ学校や仕事の合間に練習に励んできた。

 チェコを拠点に活動する人形劇作家で、監督を務めた沢則行さん(55)は「東京だと練習場所やスタッフなどの確保にお金がかかる。飯田だからこそできた」。後藤さんは「最後までやり切ることができ、感動した。この劇が飯田で定番になり、役者を代えても上演し続けることができたらいい」と話していた。

 さんしょううおは、4日午前10時半と午後1時にも同文化会館で上演する。700円の参加証ワッペンで観劇できる。

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