■前社長自ら手打ち
前田薬品工業(富山市向新庄町1丁目)の創業者宅跡地に、そばと日本茶でもてなす「松濤庵(しょうとうあん)」が7月、同市浜黒崎で本格オープンする。前社長の前田圭一さん(65)がそばを打ち、日本庭園を眺めながらお茶を楽しんでもらう癒やしの時間を演出。「肩肘張らずにくつろいでもらえる空間をつくりたい」と話している。
松濤庵は前田薬品工業の創業者、故前田實さんの自宅跡地に建つ。その自宅は総ひのき造りの平屋建て。日本庭園が自慢で、県内の医薬品業界の関係者らが集う社交場だった。
1996年に火事で全焼したが、庭園のシンボルだったアカマツが難を逃れたため、思い出の場所を残そうと、創業者夫妻の要望で翌年跡地に茶室が建てられた。
しかし、實さんは茶室が完成後、程なくして亡くなった。茶室と庭園はほとんど使われず、荒れ放題になった。
創業者の思いが詰まった場所を、再び誰もが訪れるようにしたいと、前田さんの長男で現社長の大介さん(40)が飲食店を始めることを決めた。前田さんが1年半、そば打ちを学び、振る舞うことにした。
茶室の隣にそば店を新築。白砂青松の景勝地「古志の松原」で知られる浜黒崎の風情を感じさせる店内で、カウンター6席がある。そばを提供した後、茶室で薄茶と和菓子を楽しんでもらう。
5月25日にプレオープンし、現在、前田さんの知人を中心に営業。前田さんは「この土地と建物の良さを味わってもらいたい」と話している。
毎週月、火、水曜の午前11時半、午後0時半、同1時半からそれぞれ1時間の3部制で営業する。
予約が必要で、問い合わせは前田さん、電話080(7557)3419。公式フェイスブックからも受け付ける。