「歌川広重 二つの東海道五拾三次(ごじゅうさんつぎ)」展が25日、高岡市美術館で始まった。世界的に有名な浮世絵師・歌川広重(1797~1858年)の代表作として知られる東海道五拾三次の「保永堂版(ほえいどうばん)」と、その約15年後に出版された「丸清版(まるせいばん)」との2つの版が並び、来場者が叙情性あふれる表現に見入った。
歌川広重の東海道五拾三次は、江戸と上方を結ぶ東海道に設置された53の宿場に江戸・日本橋と終点の京都を含めた55の風景を描いたシリーズ作品。今回は、版元である保永堂版と丸清版、さらに大正時代に撮影された宿場町の写真を合わせて約150点を展示した。
二つの版は同じ宿場を題材にしながらも、構図や色使い、季節、天候、時間帯、人の動作が異なる。東海道最大の難所、箱根を題材にした保永堂版は険しい岩山の間を縫うように歩く大名行列、丸清版はかがり火をたきながら山道を越える様子が描かれている。広重の豊かな表現力とともに作品を通して旅気分も楽しめ、家族連れらがじっくり鑑賞していた。
作品の世界に浸ってもらおうと、越中福岡の菅笠製作技術保存会の協力を得て、会場の一角に菅笠を展示している。
企画展は8月30日まで。市美術館、北日本新聞社主催。