立山・室堂で生息するニホンライチョウ(2011年6月2日撮影)

立山・室堂で生息するニホンライチョウ(2011年6月2日撮影)

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ライチョウ人工飼育へ 富山市ファミリーパーク

北日本新聞(2015年2月21日)

  環境省は20日、国の特別天然記念物「ニホンライチョウ」の絶滅を回避するため、2015年度から人工飼育を始める方針を明らかにし、飼育施設に富山市ファミリーパーク(同市古沢)と上野動物園(東京)を選んだ。国がライチョウ飼育を行うのは初めて。19年度までの5年計画で経過を観察して適切な繁殖・飼育方法の確立に取り組み、将来的には野生復帰を目指す。

 20日、有識者らでつくる検討会が都内で開かれ、環境省が示した計画を了承した。

 同省によると、ニホンライチョウのつがいの雌は6月上旬に4~7個の卵を産み、約3週間でひなが誕生するが、野生ではふ化後1カ月間の死亡率が高く、繁殖が難しい。

 計画では、6月上旬の産卵期と下旬の抱卵期に、乗鞍岳(長野、岐阜)でふ化前の卵をそれぞれ5個ずつ採集。ファミリーパークと上野動物園に運び、ふ化させて人工餌で飼育する。来年度に繁殖を始め、生まれた第2世代は3年目以降、他の施設にも分散して育てる。

 国内でニホンライチョウを飼育する施設はなく、同パークなど6施設が近縁亜種を研究飼育している。同パークは10年から近縁亜種のスバールバルライチョウの飼育に取り組み、12年には全国で初めて自然繁殖に成功した。飼育施設の選定では、こうした実績が決め手になった。現在、ライチョウ舎の拡充と機能充実を進めており、3月末に完成の予定。

 検討会に出席していた同パークの山本茂行園長は「名誉だが、責任も重大だ。ニホンライチョウを主力とする飼育システムを急ピッチで整えたい」と話した。


◆ニホンライチョウ◆
 南北アルプスなどの高山帯に生息するキジ目(もく)の鳥。世界のライチョウの中で最も南に分布している。1980年代には約3000羽いたが、環境変化や外敵の増加で減少し、現在は推定で2000羽弱とされ、絶滅危惧種となっている。県自然保護課によると、県内の生息数は約1300羽。富山県の県鳥。

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