入賞・入選作など378点のポスターが並ぶ会場=県立近代美術館

入賞・入選作など378点のポスターが並ぶ会場=県立近代美術館

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世界ポスタートリエンナーレトヤマ開幕 県立近代美術館

北日本新聞(2015年9月20日)

 国内で唯一の国際ポスター公募展「第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ(IPT)2015」が19日、県立近代美術館で開幕した。入賞作が発表され、富山市婦中町鵜坂のグラフィックデザイナー、尾崎美穂さん(47)の「70years after the war」が最高賞に次ぐ金賞に選ばれた。IPTで県内デザイナーの入賞は、1985年の第1回展以来、初めてとなる。

 IPTは、県立近代美術館が3年に1度開催。今年30年目を迎え、世界有数のポスター公募展として知られている。尾崎さんは68年富山市生まれ。女子美術短大でデザインを学び、県内企業に就職。現在は夫の永治さんが経営するデザイン制作会社「COZY(コージー)」(同市婦中町鵜坂)に勤めている。

 受賞作は、戦後70年をモチーフにしたモノクロ作品。戦没者に見立てたサクラの花びらをちりばめ、日の丸をデザインした。戦争の犠牲者を追悼し、愚かな歴史を忘れてはならないというメッセージを込めた。3度目の応募で金賞に輝いた尾崎さんは「富山の若手デザイナーの励みになればと思う。今後も素晴らしい賞に恥じないよう精進していきたい」と喜んだ。


■時代映す378点そろう
 県立近代美術館で19日開幕した「第11回世界ポスタートリエンナーレトヤマ(IPT)2015」では、授賞式と開会式が行われ、受賞者らはさらなるオリジナリティーの追求に意欲を燃やした。会場には、入賞、入選作351点と審査員の招待作品27点の計378点を11月23日まで展示。1985年の創設から30年という節目を迎えた今回は、反戦や環境問題などメッセージ性の強い作品からイベントの広告まで、現代社会を映し出す多彩なポスターがそろった。

 既発表作品を対象にしたA部門と、自主制作のB部門に57の国と地域から3845点の応募があり、国内外のグラフィックデザイナーらが審査した。入賞作品の審査では、2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムの白紙撤回を受け、初めてネットの画像検索システムで類似作品の有無を調べた。

 式では、IPT実行委員長でグラフィックデザイナーの永井一正さんが30年の歴史を振り返り「世界のトップクリエーターが競い合う場に成長した」とあいさつ。五輪のエンブレム問題を意識してか「ポスターにはデザイナー自らの主張が込められ、鑑賞に堪える芸術性を持たねばならない」とオリジナリティーの重要性を訴えた。

 審査員を代表して勝井三雄さんが入賞作を発表し、石井知事が受賞者に賞状とメダルを贈った。高木繁雄富山商工会議所会頭らが加わり、テープカットした。

 会期中は、審査員を務めたグラフィックデザイナーの講演会などを予定している。10月24日から東京の渋谷ヒカリエで、今回の入選作の一部と過去の受賞作を紹介するPR展を開く。

 IPTの観覧料は一般900円、大学生650円。高校生以下無料。問い合わせは同美術館、電話076(421)7111。

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