福井県鯖江市で活躍した芸術家を紹介する「今、蘇(よみがえ)る先人たちのアート展」が11日から、鯖江商工会議所のギャラリー新で始まる。越前漆器の沈金作家で同市河和田地区で制作に励み、1991年に亡くなった服部正斎(しょうさい)氏の巧みなのみ遣いで仕上げられた作品約20点を展示する。13日まで。
昨年結成された市内の芸術愛好家グループ「ゆずりは」が企画した。写真や絵画、書道など8分野の8人が所属し、地元で培われた芸術作品をいま一度見直し後世に伝えようとことしで2回目の開催。毎年テーマを変えながら、1人ずつ芸術家を紹介していく。
服部氏は、「伝説の沈金師」と呼ばれた同地区の作家、真保由斎(しんぼゆうさい)氏の一番弟子。師匠の作風を受け継ぎ、「牡丹(ぼたん)」「日の出」など花鳥風月をテーマにした作品が多い。県庁の貴賓室に飾られている大本山永平寺の壁画も服部氏の作品で、今回展示される縦約2メートル、横約3メートルの壁画「杉」は、壁画シリーズの一つ。大胆で力強い彫りが見どころ。また、晩年の独創的な作風の作品も紹介している。
会場では、ゆずりは会員の作品展も開催。それぞれ2点ずつ出品しており、創作的な帯結びや和紙に浮き上がらせた写真などが並んでいる。