グスタフ・クリムト「人生は戦いなり(黄金の騎士)」(1903年、愛知県美術館蔵)

グスタフ・クリムト「人生は戦いなり(黄金の騎士)」(1903年、愛知県美術館蔵)

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クリムト代表作展示へ 富山県美術館の開館記念展

北日本新聞(2016年12月31日)

 2017年8月26日にオープンする富山県美術館の開館記念展で、オーストリアを代表する画家、グスタフ・クリムトの代表作「人生は戦いなり(黄金の騎士)」(1903年)が展示されることになった。愛知県美術館の所蔵品で、クリムトの企画展以外に貸し出されるのは珍しい。新たにフランス・グルノーブル美術館からは日本初お目見えの作品もラインアップに加わることが決まり、開館へ準備が着々と進んでいる。

 富山県美術館は、今月28日に閉館した県立近代美術館が富山市の富岩運河環水公園に移転し、名称を改めた施設。開館記念展は「生命と美の物語 LIFE-楽園を求めて」と題し、同館と国内外の美術館のコレクションを合わせ100~150点を並べる。

 クリムトは、19世紀から20世紀初頭にかけて活躍した世界中で最も有名なオーストリアの画家とされる。黄金色を多用した官能的な作風は日本でも人気が高い。

 今回出品される「黄金の騎士」は権威主義的な画壇に対し、クリムトが反旗を翻していた頃の作品。咲き乱れる花の中を黒馬に乗った騎士が突き進む。金箔(きんぱく)を用いた装飾性の高い作品で、ルネサンス期の画家、デューラーの版画を下敷きにしたといわれている。

 愛知県美術館にとって、クリムトを特集した展覧会でもないとめったに貸し出さない重要な作品で、島敦彦館長(富山市出身)は「日本にとっても財産と言える作品。充実したコレクションがある富山と、これまでの協力があってこそ貸せる。開館という節目の展覧会で富山の皆さんに楽しんでほしい」と語る。

 海外の有名美術館からの出品も決まった。フランスで初めて近代美術に特化した美術館、グルノーブル美術館からは、抽象絵画の先駆者として知られるロベール・ドローネーの油彩画「ブレリオに捧ぐ」が登場する。パリの雑踏が独特の色彩で描かれ、作家が具象から抽象へと移行しようとしていた時期の特徴が現れている。ほかにもドイツのブレーメン美術館と作品貸し出し交渉を進めている。

 企画展を担当する八木宏昌学芸課長は「近代美術館が35年間培った経験や関係性があって集まった作品。開館にふさわしいものになるはず」と話す。

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