豪農の館などを移築し、営業している旅館「龍言」=南魚沼市坂戸

豪農の館などを移築し、営業している旅館「龍言」=南魚沼市坂戸

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雪国の宿に 国の有形文化財・南魚沼「龍言」 同業者取得

新潟日報(2018年11月19日)

 建物の一部が国の登録有形文化財となっている、南魚沼市の旅館「龍言」を、湯沢町の旅館・飲食業「いせん」が取得した。いせんの井口智裕社長は「龍言を世界に認められる宿にしたい」とし、海外客を新たなターゲットに据える。これに備え来年3月からリニューアル工事に入り、施設などハード面を整え、11月にグランドオープンする予定だ。

 龍言は1969年開業で、客室は32室。ほとんどの建物が古民家を移築したもので、本館が国の登録有形文化財になっている。親会社だった県外企業が事業転換することになり譲渡を検討。全国展開のホテルチェーンではなく、地元の企業に伝統の宿を守ってもらいたいと、いせん側に譲渡を提案した。8月末に契約が成立し、9月からいせんが運営している。

 いせんの井口社長は、湯沢町など県内外7市町村でつくる「雪国観光圏」の代表理事を務める。取得について「龍言は地域の宝。由布院(大分)を例にとっても、(地域の)ブランド発信には、同じ思いで運営する宿が3軒は必要」と話す。今後は同社と、雑誌「自遊人」の編集長で、観光圏にも携わる岩佐十良(とおる)さんがプロデュースする宿「里山十帖」(南魚沼市)とともに、雪国の魅力を発信する宿に育てる。

 龍言は今後、欧州やアジアの高所得者層を中心に海外からの誘客に力を入れる。いせんでは海外客向けに、日本の伝統建築である龍言を旅の入り口に、稲刈りの風景といった、地域の日常を楽しんでもらう旅行プランを計画している。

 井口社長は「2泊を基本としたい。食事にしても、1日目は宿で、2日目は町に出てもらうことで多彩さが生まれる」と青写真を描く。

 海外客への対応も踏まえ、3月から休業し、リニューアルに入る。具体的な工事内容は現在検討中だが、内装や電気関係などが中心となる見込み。従業員の雇用はこれまで通り維持する。

 龍言は来年7月にプレオープンし、11月に新生・龍言として再スタートする。井口社長は「龍言がにぎわうことが、地域の人たちの自信につながる。海外の人が、南魚沼地域に気付くための一筋の明かりになれれば」と意気込んだ。

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