知っているようで知らない地元商店や事業所の意外な一面をまとめたPR冊子を、新潟県南魚沼市の大和商工会が製作した。大和地域では、魚沼基幹病院の開業を契機に、外からの人の流入が増えたが、地元商業者が客として取り込めていないのが実情。同商工会では誘客の一助になればと編集した。担当した職員は「目にして、興味があれば、ぜひその店を訪ねて買い物をしてほしい」と話している。
PR冊子は「大和の秘密」と題され、A5判で33ページ。大和地域24店舗の情報を掲載した。
ユニークなのは「秘密」という切り口。単なる店の紹介では読まれないとして、商工会職員が「秘密」「なぞ」「隠れた」などをキーワードに歴史や商品・サービスの魅力を調べ、まとめた。事業費75万円をかけ昨年10月に1000部を印刷した。
南魚沼市の大和地域では2015年、浦佐に魚沼基幹病院が開業、医師や看護師ら病院職員が地域外から通勤する。だが人の流入が増えた割に、地元商店への経済効果が現れていないという声が出ていた。
そこで大和商工会は16年、病院スタッフの買い物実態などを調査。交通網が整備されていることなどで、大型店のある六日町地域や魚沼市、長岡市などで買い物をする傾向が高いと判明。大和地域の店舗で買い物をしたことがないという回答も多くあったという。
結果を受け、同商工会は、病院職員ら「外の人」に大和地区の店に目を向けてもらおうと冊子を企画。1000部は魚沼基幹病院や北里大学保健衛生専門学院や金融機関などに配られた。
浦佐地区のライブハウスの記事では「浦佐にこんな空間があるなんて!」と、毎週のようにアマチュアやプロによる演奏が行われていることを取り上げた。
また荒金地区の菓子店兼カフェのPRページでは、「実は老舗のお菓子屋さんなのにカレー?しかもグリーンカレー?」と甘いスイーツ販売の一方で、激辛カレーを提供するギャップを、驚きをもって紹介。
茗荷沢にある自動車整備工場を取り上げたページでは「金物→自転車→バイク→自動車 時代と共に進化」と業態の変遷を説明。「乗り物で困ったら、ぜひ一度相談して」と来店を呼び掛けている。
冊子を企画した同商工会の宮田大介さん(32)は「なぞや秘密をキーワードにすれば面白くなりそうだと思い企画した。地域の店舗の魅力が伝える冊子を手にとってもらい、少しでも地元での購買につなげたい」と話している。