新潟県佐渡市の人形浄瑠璃一座「猿八座」による「山椒(さんしょう)太夫」の公演が、柏崎市諏訪町のドナルド・キーン・センター柏崎を皮切りに始まった。親子の苦難や愛情が情感豊かに演じられ、約50人がじっくりと見入った。
県内で開催中の「国民文化祭」の特別連携事業として、ブルボン(柏崎市)などでつくる実行委員会が主催。11月まで県内7会場で9公演が開かれる。
2月に96歳で亡くなった日本文学研究者ドナルド・キーンさんが人形浄瑠璃を愛していた縁もあり、同センターが最初の9月21日と最後の11月30日の会場に選ばれた。
山椒太夫は佐渡などが舞台となっている新潟県ゆかりの演目。人買いに売られた安寿(あんじゅ)、厨子王(ずしおう)の姉弟が、生き別れた母親と佐渡で再会する物語だ。
座員は臨場感あふれる三味線の弾き語りに合わせ、人形を小刻みに震わせたり、飛び跳ねたりして喜怒哀楽を巧みに表現した。親子が再会する場面などでは観客の涙を誘った。
訪れた柏崎市東港町の無職男性(77)は「キーン先生がきっかけで古浄瑠璃に興味を持った。今回も国民文化祭にふさわしい、素晴らしい公演だった」と話した。
公演は新発田市、村上市などでも予定されている。入場無料で事前申し込みが必要。
問い合わせはブルボン内実行委員会事務局、0257(23)8296。