新潟県柏崎市で温室栽培され、昨年から収穫が始まったバナナ「越後バナーナ」が、スイーツになって広まっている。1本千円の高級品だが、規格外品を使ったドーナツやケーキは数百円とお手頃。生産者は「手に取りやすいスイーツを通してバナナの味を知ってほしい」と意気込み、増産も計画している。
越後バナーナは産業廃棄物処理業のシモダ産業(同市)が運営するシモダファームが、同社の焼却施設の排熱を利用し、荒浜2の温室栽培施設で育てている。昨年8月以降、1月までに1万5千本を収穫した。
皮まで食べられるバナナとして市のふるさと納税の返礼品や果物店で品薄になることもある人気だという。
高価で日常的に食べることが難しいため、シモダファームは市内の洋菓子、飲食の3店と1月下旬、越後バナーナを使ったスイーツを紹介するフェアを開催した。
既に越後バナーナスイーツを販売している半田3の洋菓子店「菓子工房やしろ」は、ドーナツやケーキなど計10種類を並べた。長岡市の主婦(38)は「一度食べてみたかった。普段1房98円のバナナを食べているので、1本千円ではとても手が届かなくて」と喜んでいた。
バナナを皮ごと使ったピューレを練り込んだドーナツは1個206円。シェフの矢代愛さん(40)は「皮を使うと香りが強く出る。せっかくおいしいバナナなのだから、多くの人に味わってほしい」と語る。
シモダファームの霜田真紀子さん(40)は「スイーツとバナナは相性がいいので可能性が無限にある」と期待を膨らませる。
ニーズの高まりに合わせ、シモダファームは現在2棟の温室栽培施設を3月中に4棟とし、1年後に生産量の倍増を目指す。