日本のアニメーションに大きな影響を与え、2018年に亡くなった映画監督で演出家の高畑勲さんの展覧会が、新潟県長岡市の県立近代美術館で開かれている。原画など数多くの資料を展示し、各作品に息づくこだわりや制作の舞台裏を紹介。19日には記念講演会が行われ、訪れた人々が理解を深めた。
高畑さんはテレビシリーズ「アルプスの少女ハイジ」(1974年)全話の演出を手掛け、85年にスタジオジブリ設立に参画。「火垂るの墓」(88年)や「おもひでぽろぽろ」(91年)などの代表作がある。
会場には、高畑さんが監督・脚本を手掛けた作品の原画や手描きの絵コンテ、制作ノートなど計千点以上を展示。ハイジの初期のキャラクター原画なども並べられ、作品の制作過程に触れることができる。
講演会では、映像研究家で女子美術大(東京)講師の叶精二さん(56)が映像を交えて解説。唇の厚さと口角のゆがみでキャラクターの表情を表す方法など、現代アニメの基礎になる技法を築いたなどと語った。
講演を聴いた同市上除町西1の男性(67)は「登場人物が泣くシーンにも描き方に工夫があったことなどが分かった。作品を見直したい」と話した。
「高畑勲展」は11月14日まで。