佐竹本「源重之」を鑑賞する来館者

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佐竹本の断簡「源重之」県内初公開 秋水美術館収蔵記念展開幕

北日本新聞(2022年4月10日)

 鎌倉時代の絵巻「佐竹本三十六歌仙絵」の断簡の一つで国重要文化財の「源重之」が9日、富山市千石町の秋水美術館で開幕した特別展「歌仙絵と太刀」で県内初公開された。和歌にまつわる屏風(びょうぶ)や平安から鎌倉時代にかけて作られた刀など国宝を含む約30点を併せて展示。来場者は華やかな王朝美術の世界を堪能した。5月15日まで。

 佐竹本は平安時代の歌人藤原公任(きんとう)が選んだ歌詠み36人の肖像に、代表的な和歌と略歴を添えた絵巻物。鎌倉時代以降に作られた数々の絵巻の中でも最高峰の名品とされる。大正時代に上下2巻が歌仙ごとに37分割され、茶人や実業家らに受け継がれた。

 断簡の一つ「源重之」は個人所有を経て、秋水美術館を運営する富山市の製薬会社リードケミカルが昨年取得。平安中期の歌人源重之の肖像と「よしのやま」から始まる和歌がしたためられている。

 展示室では作品を単眼鏡を使ってじっくりと鑑賞する人の姿も見られた。富山市の会社員、上田俊則さん(59)は「千年近く前に描かれたものが美しい状態で残っていて感動した」と語った。

 藤原公任筆の国宝「稿本北山抄巻第十」をはじめ、城端別院善徳寺蔵の「百人一首歌留多」や高岡市万葉歴史館蔵の「三十六歌仙図色紙張交屏風」なども展示している。北日本新聞社共催。

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