実業家、福富太郎(1931~2018年)の収集品をそろえた企画展「コレクター福富太郎の眼(め) 昭和のキャバレー王が愛した絵画」が15日、富山県水墨美術館で開幕した。美人画の名手、鏑木清方(かぶらききよかた)の11点をはじめ、明治の洋画黎明(れいめい)期から第2次世界大戦期の油彩画など、福富の審美眼が光る62点が並ぶ。多彩なコレクションの全貌を紹介する初の展覧会で、開場直後から多くの美術ファンでにぎわった。9月4日まで。
福富は16歳でキャバレーのボーイになり、26歳で独立すると全国にキャバレー店を展開し一時代を築いた。絵の収集を唯一の趣味とし、画家の名前や評価にとらわれることなく自身の感性だけを頼りに買い求めた。近年、作品群を再評価する機運が高まっている。
展示室には鏑木の異色作「妖魚(ようぎょ)」や市井の人々を生き生きと描き出した池田輝方の「幕間(まくあい)」など時代の雰囲気を伝える絵画が並ぶ。8月7日までの前期展と同9日からの後期展で作品を入れ替え、全55作家の名品を紹介する。
開会式で新田八朗知事と蒲地北日本新聞社長があいさつ。福富の妻、中村くみ子さんと長女のみちるさんらが加わり、テープカットした。
同展は県水墨美術館と北日本新聞社でつくる実行委員会と県主催。