関所の番人が記した二つの古文書を手に、企画展を紹介する舟杉館長

関所の番人が記した二つの古文書を手に、企画展を紹介する舟杉館長

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安政の大地震 番人が記した文書紹介 猪谷関所館

北日本新聞(2022年9月15日)

 富山市猪谷(細入)の猪谷関所館の企画展「富山にもあった!大地震!関所番人が綴(つづ)った『安政の大地震』」が同館で開かれている。幕末に全国で頻発した地震の被害の大きさや、対応に追われた関所番人の様子を古文書から読み解き、今に通じる教訓を伝えている。25日まで。

 一般に、安政年間に各地で頻発した地震を総称して「安政の大地震」と呼ぶ。県内では、常願寺川が氾濫した安政5年の飛越地震がよく知られている。

 企画展では、同館が保存する二つの古文書を紹介。そのうち、「安政四年 諸国大地震留」では、各地の地震について当時の番人だった橋本作七郎がまとめた。特に三大地震の一つに数えられる東海地震については、静岡の浜松城下の家々が倒壊し、地割れしたことが記されている。舟杉克己館長は「正確な記述に驚かされる。関所を通った旅人から聞いたり、足しげく通った富山城で情報を仕入れたりしたのではないか」と推測する。

 作七郎が飛越地震の際に記したもう一つの「安政五年 大地震留」によると、余震が何度も続き、周辺の住民が外でむしろを敷いて夜を明かしたという。安政五年の文書では字の乱れが激しく、きちょうめんな性格だったという作七郎の動揺も見て取れる。

 「諸国大地震留」の中で、作七郎が「天災を避けることは難しいが、人々の心掛けが良ければ大小の災難を避けることができる」と心構えを説いている。舟杉館長は「過去から学んでほしい」と話す。

 開館は午前9時~午後5時。入館料150円、高校生以下無料。北日本新聞社後援。

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