鋼材販売・加工の阿部商店(新潟県長岡市下々条3)が、アウトドア事業に乗り出した。初の自社ブランドを立ち上げ、3種類のたき火台をラインアップ。全てのパーツが一枚板になるコンパクトさが売りで、花火柄をあしらうなど技術力も光る。堅調なアウトドア需要を見込み、新たな収益源に育てたい考えだ。
ブランド「クラフトベイ」で発売したたき火台は鉄製。一部商品には表面に黒皮と呼ばれる膜を持った鉄を採用し、青く光るような色味が特徴だ。ラインアップの中には、地元の代名詞である長岡花火をイメージした花火柄のくりぬきを施したものや、イニシャルを入れられるものもある。
3種類の重量はそれぞれ3・5キロ、4キロ、5・6キロ。いずれも組み立て式で、収納時は最も大きいものでも縦30センチ、横37センチ、厚さ2センチとコンパクトになり、持ち運びやすさに配慮した。
一部の商品には五徳が付き、網を乗せればバーベキューにも使える。五徳には小さな突起があり、網がずれにくい工夫を施した。
商品開発のきっかけは、新型コロナウイルス禍で売り上げが前年比で25%落ち込んだ2022年、アウトドア好きの女性従業員が、工場の材料と加工機を見て「たき火台を作れないか」と考えたことだった。
「元々超インドア派」という外川大樹(だいじゅ)工場長(44)が1年近くかけ、1商品につき設計から試作まで10パターン以上の試行錯誤を繰り返して完成させた。テストのため工場内で"1人バーベキュー"をするのが日常だったといい、「多少恥ずかしさもあったが、やるべき目標に突き進んだ」。
価格は花火柄ミニバージョンが4620円、クラフトベイの刻印入りが1万2100円、花火柄通常サイズが1万4300円。
たき火台は発売から1年となる来夏までに3商品合計で100個を売り、合わせて約100万円の売り上げを目指す。ランタンシェードの試作も進めており、阿部修平専務(39)は「アウトドア商品を通して自社を知ってもらい、本業の成長にもつなげたい」と話している。
阿部商店は1947年創業。鋼材・鉄板の卸売りと切断加工を手がけ、主に県内の工作機械向け部品メーカーを顧客に持つ。23年4月期の売上高は10億2千万円。
問い合わせは阿部商店、0258(24)3950。