企画展「うたを詠む」で展示された現存する最古級の百人一首かるた=福井県越前市武生公会堂記念館

企画展「うたを詠む」で展示された現存する最古級の百人一首かるた=福井県越前市武生公会堂記念館

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和歌の変遷、最古級の百人一首も 紫式部ゆかりの越前市で企画展

福井新聞(2023年11月14日)

 福井県越前市ゆかりの紫式部が主人公となる来年放送のNHK大河ドラマ「光る君へ」に合わせた企画展「うたを詠む」(福井新聞社後援)は11月26日まで、同市武生公会堂記念館で開かれている。万葉集の複写本や最古級の百人一首かるたなどの資料約40点を通じ、時代ごとに変遷した和歌の歴史を紹介している。

 現存する最古の和歌集である万葉集は奈良時代末期に成立したとされ、複写本のうち「尼崎本」と呼ばれる資料を展示。全20巻のうち1~7巻は宮廷歌人の作品が中心で、後半にかけては地方で詠まれた「東歌」などを収録しており、和歌が次第に広く浸透していった歴史が表れている。

 古今和歌集は、醍醐天皇による勅撰(ちょくせん)和歌集として905年に成立。地方豪族が台頭する中で中央集権の力を示す施策だったとされ、「一時衰退した和歌が政治の表舞台に戻ってきたことが分かる」(市生涯学習・芸術文化課)。序文の複写資料などを展示した。

 「道勝法(どうしょうほう)親王筆百人一首歌かるた」は、江戸時代前期に作られた現存する最古級の百人一首かるた。黒ずんで遊んだ跡が分かる取り札からは、鎌倉時代の歌人藤原定家が選んだ小倉百人一首が、当時も身近に受け継がれていた名残がみてとれる。

 紫式部は源氏物語の作中に795首に上る和歌を残し、後世の歌人の教科書的存在とされてきた。浮世絵師の葛飾北斎が手掛けた風流源氏かるた、源氏物語図色紙貼交屏風(びょうぶ)などの関連資料が並んでいる。

 入館料は一般300円。月曜休館。

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