佐渡島内の有志らが企画した初めてのアートイベント「さどの島銀河芸術祭2016」が開かれている。島内外の作家ら10人以上が佐渡市両津地区を中心に、10月10日まで多彩な企画展示やイベントを行う。
芸術祭は、作家に作品発表の場を提供するとともに、伝統芸能など独特の文化が色濃く残る佐渡での創作を通じ、刺激を受けてもらう目的で開催する。あいぽーと佐渡(両津夷)をメインに、加茂湖周辺と海沿いの鷲崎、岩首の両集落が会場となる。
山あいに棚田の広がる岩首では、美術家の寺田佳央さん(40)=東京都=が棚田に小屋を建てた。配流の際、岩首に近い多田に着いたとされる世阿弥の書斎をイメージしたという。「海と棚田の景色の調和に豊かさを感じた。世阿弥は佐渡で幸せに暮らしたのではないか」と推し量る。
お盆前から岩首に滞在し、材料を集めて造った小屋は高さ2メートル。中からは、黄金に色付く稲穂の先に、佐渡海峡を望むことができる。「棚田を上から見て、現実と離れた感覚を味わってもらえれば」と話す。
写真家の梶井照陰さん(40)=鷲崎=は、自身が住職を務める地元の観音寺で、佐渡の海岸に打ち寄せる波を捉えた写真シリーズ「NAMI」から20点を並べる。水面に映る月を撮影した約10分の映像作品「TSUKI」も上映する。個人として、島内では11年ぶりの展示になるという。
芸術祭はプレ開催の位置づけで、2018年に参加作家や展示地区を拡大した本開催の開幕を目指す。主催する実行委員会委員長でもある梶井さんは「芸術祭により、作家と市民の相互作用が生まれ、佐渡を見詰め直すきっかけになればいい」と期待する。
あいぽーと佐渡では、島内に版画を普及させた版画家、故高橋信一さんの遺作展も開かれている。一部の展示は有料。芸術祭の問い合わせはあいぽーと佐渡、0259(67)7633。