長野市鬼無里地区で18日、地元に伝わる鬼女(きじょ)紅葉(もみじ)の伝説にちなむ「第16回鬼女もみじ祭り」(実行委など主催)が開かれた。会場の松巌(しょうがん)寺本堂は昨年11月に起きた県北部の地震で被災したが、復旧工事を終えて例年通りに開催。主催者らは「息の長い祭りにしていきたい」と意気込みを新たにしていた。
昨年11月の地震で鬼無里地区は震度6弱を観測し、住宅の全半壊などの被害が出た。松巌寺も本堂や客殿の壁が崩れたり、ひびが入ったりしたが、8月下旬に復旧工事を終えた。
祭りでは鬼女紅葉の伝説を紹介し、地元の保存会が「鬼女紅葉太鼓」を披露した。貴族の子を宿して京から追放され、鬼無里で読み書きなどの文化を伝えて暮らしていた主人公紅葉が、京を思うあまりに鬼と化して悪事を働き、朝廷が派遣した平維茂(これもち)に討たれる平安時代の物語。太鼓演奏では紅葉と維茂が戦う場面を、面を着けた舞い手が迫力たっぷりに表現した。
今回は、書道パフォーマンスやヨガ体験も企画。実行委によると、約260人が訪れた。事務局長の保科孝紀さん(79)は「新しいことを取り入れながら、幅広い年代に愛される祭りにしていきたい」。友人と初めて鬼無里地区を訪れた東京都小平市の画家田中紗樹さん(31)は「伝統や若い人の活力など、いろいろなものが混在していて面白かった」と話していた。