塩尻市のワイナリー新設予定地。30年ほど前まで醸造を手掛けていた「メルシャン塩尻セラー」(中央)の建物を改装する

塩尻市のワイナリー新設予定地。30年ほど前まで醸造を手掛けていた「メルシャン塩尻セラー」(中央)の建物を改装する

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信州産、高まるブランド力 メルシャンが塩尻・上田に新ワイナリー

信濃毎日新聞(2017年10月18日)

 ワイン大手のメルシャン(東京)は17日、塩尻市桔梗(ききょう)ケ原地域と上田市丸子地域に、それぞれワイナリー(ワイン醸造所)を新設すると発表した。塩尻は2018年9月、上田は19年秋に稼働する予定。現在、山梨県甲州市勝沼町にある自社唯一のワイナリーに県内からブドウを運んで醸造しているが、国産ワイン需要の高まりで勝沼での生産が逼迫(ひっぱく)。塩尻と上田を加えた3カ所態勢とし、原料ブドウ産地で高品質なワインを生産する。

 自社のブドウ農場などに醸造設備を導入。塩尻に設ける「桔梗ケ原ワイナリー」は初年度に1千〜1500箱(1箱720ミリリットル瓶12本分)を、上田市の「椀子(まりこ)ワイナリー」は5千箱を生産する予定。3カ所を拠点に27年に6万7千箱の販売を目指す。

 上田市塩川にあるブドウ農場「椀子ヴィンヤード」は、栽培面積が約21ヘクタールで自社最大。ワイナリーを新設するほか、ブドウ畑を望む丘にテラスやテイスティングルームのある施設を設け、限定ワインなどを販売する計画。収穫から醸造までを間近に見学できるようにする。

 桔梗ケ原のブドウ畑は、現在の栽培面積が6ヘクタールほどだが、15年に塩尻市片丘に苗木を植えてブドウ栽培を増強中だ。ワイナリーは30年ほど前まで醸造していた近隣の「メルシャン塩尻セラー」の建物を改装し、「日本のワインづくりの歴史を感じられる施設」(同社)にする。

 勝沼でも見学施設を拡充し、3カ所への投資額は計約6億円の見込み。

 同社は同日、上田、塩尻両市で構想を発表。上田市役所で記者会見した高谷道夫常務は、両市などのブドウによるワイン「シャトー・メルシャン」の17年1〜9月の販売量は前年同期比9%増の約1万7千箱だったと説明。ワイナリー開設について「日本ワインの盛り上がりに応えていく責任がある」とした。

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 長野県は醸造用ブドウで全国トップの収穫量を誇る。高品質のブドウが確保でき、県産ワインのブランド力も高まっている。小規模ワイナリーの開設が相次ぎ、大手メーカーも県内でのワイン事業に一層力を入れている。

 サッポロビール(東京)は、北安曇郡池田町に子会社と同町の共同出資でブドウ栽培会社を構え、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなど欧州系品種を栽培。「栽培条件がそろい、高品質なブドウを十分に確保できる」(サッポロ広報室)とし、今季は栽培面積を12・6ヘクタールに増やした。

 同町産ブドウで醸造したワインは自社の最高峰ブランドで商品展開。農場では今年、高品質のブドウを安定生産するため、栽培を管理する人工知能(AI)も導入した。

 ワインに適した品種の育成や栽培技術の向上で原料ブドウの品質は上がっており、国際的なコンクールで県産ワインが最高賞を得るなど評価は高まっている。県日本酒・ワイン振興室によると、ワイナリーは県内に36あり、2010年の1・6倍に増えた。

 国産ワインのブームを背景に、国税庁は18年10月からラベル表示のルールを新設する。ワイナリーがブドウ産地と同じ場所にあり、その産地のブドウを85%以上使うと産地名を表示できる。こうした動きが県内へのワイナリー開設を後押しする可能性もある。

 サントリーワインインターナショナル(東京)は8月、塩尻市産ブドウで醸造したワインの新シリーズを発表。新ルールもにらみ、ラベルは「塩尻」の文字が目立つようにデザインを一新した。同社塩尻ワイナリーの篠田健太郎所長は「塩尻の名前を前面に出し、ブドウ栽培に適した気候や土壌、ともに作業する生産者など、産地の魅力をPRしていきたい」としている。

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