下伊那郡豊丘村の観光農園「市田柿村」で22日、今年の営業が始まった。飯田下伊那地方特産の干し柿を干す晩秋の風物詩「柿すだれ」を間近で観賞し、持ち帰りなどができる施設で、地元の柿農家有志が昨年開園した。初日は観光バス4台、計約180人が訪れた。
農園には、観賞用と持ち帰り用のビニールハウスがあり、4万個以上の柿が等間隔にひもにつるされてずらりと並ぶ。今年は市田柿をより深く知ってもらおうと、完成するまでの作業工程の写真や歴代の柿の皮むき機を観賞用ハウスに展示した。
売りの一つは「愛娘(まなむすめ)」と名付けた、乾燥しきらないうちに食べる「半熟」の干し柿。とろりとした舌触りや鮮やかなあめ色の見た目で評判が良いという。愛知県美浜町から来た山本敦子さん(70)は「干し柿は大好きだけど、こんなにおいしいのは初めて」と頬を緩めた。
市田柿村によると、昨年の来園者数は約3700人。基本的に受け入れは観光バスの団体客のみで、今年は昨年を大きく上回る数を見込む。代表の田戸儀信さん(67)は「大勢に来てもらい、豊丘村のこともよく知ってもらえればいい」と話した。