フランスの経営大学院「インシアード」の学生43人が3、4日、飯田市に滞在して地元の伝統文化やいなかの暮らしぶりに触れた。インバウンド(海外誘客)の経験の蓄積や情報発信の促進を目的に同市が受け入れを仲介。住民と触れ合いながら農家民泊や地元の伝統工芸の水引作りを体験した。
世界各国の経営大学院では学生が企画して学習旅行を行う慣習があるという。昨年は、英国にある経営大学院の学生が飯田市を訪れ、128人が農家民泊などを体験した。市によると、この時の学習旅行の評判が良かったことなどから、インシアードの日本人学生から市への訪問の打診を受けたという。
2月28日に来日したインシアードの学生は19カ国の43人で、京都観光などを経て、飯田市に来訪。4日は人形浄瑠璃「今田人形」(国選択無形民俗文化財)の鑑賞などの後、木造の校舎部分が国登録有形文化財に指定されており、昭和中期の趣を残す同市竹佐の「杵原(きねはら)学校」で、五平餅やみそ汁といった郷土食の食事や水引を使ったキーホルダー作りを楽しんだ。
スイス人学生のジョエル・オニオさん(31)は、農家民泊の宿泊先でいろりを囲む体験が特に印象に残ったといい、「暮らしぶりを知る良い体験ができた」と満足そうだった。市の担当者は「日本のスローライフを体験してもらえたと思う。今後も機会があれば積極的に受け入れたい」と話した。