戦場で志半ばに倒れた芸術家の卵たちの作品を紹介する「戦後70年 無言館展 画布に遺(のこ)した青春」の開会式が17日、県立近代美術館で行われた。出征を目前に控えた画学生が恋人や家族、生まれ育った故郷を描いた作品が並び、招待された美術関係者らは、平穏な日々と命の尊さを伝える絵の数々に見入っていた。9月3日まで。
無言館は長野県上田市にある私設美術館。館主の窪島誠一郎さん(73)と、文化勲章受章者で自らも出征経験を持つ洋画家、野見山暁治(のみやまぎょうじ)さん(94)が全国を回り、創作に打ち込みながら戦争で命を失った画学生らの作品を集めた。企画展では、無言館が収蔵する155点に加え、写真や手紙など遺品約300点も並べる。
開会式では、石井知事と板倉北日本新聞社長が「作品には『まだまだ描きたい』という若者たちの思いがあふれている。戦後70年という節目に多くの人に見てもらいたい」とあいさつ。窪島さんが無言館を開館した経緯などを説明し「戦没画学生たちの絵は何も言わないけれど、たくさんのことを伝えてくれる」と述べた。
県立近代美術館の雪山行二館長が加わり、テープカット。窪島さんと丸山多美子学芸員が、招待客約150人に画学生の生い立ちや描かれた当時の状況などを説明した。
県立近代美術館と北日本新聞社でつくる実行委員会主催。