召集令状の受領証を並べたパネルなどを展示した「太平洋戦争と戦時下の暮らし」展=鯖江市まなべの館

召集令状の受領証を並べたパネルなどを展示した「太平洋戦争と戦時下の暮らし」展=鯖江市まなべの館

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戦時の厳しい時世克明に 赤紙など100点展示 福井県鯖江市

福井新聞(2015年8月6日)

 かつて福井県鯖江市にあった旧日本陸軍歩兵の鯖江第三十六連隊と同市の関わりや、戦時中の人々の様子を紹介する展示会「太平洋戦争と戦時下の暮らし」が同市まなべの館で開かれている。召集令状(赤紙)や軍服、戦地から出されたはがきなどが並び、当時の厳しい時世がしのばれる。無料、9日まで。

 太平洋戦争の終戦70年にあわせて、まちの発展に大きな影響を与えた同連隊の歴史や、平和について考えてもらおうと同市文化課が企画した。5月には日露戦争時までの展示会を開いており、今回は日中戦争や太平洋戦争関連の資料やパネル約計100点を並べた。

 新横江村(現同市東部)の兵事係が保管していた赤紙の受領証391枚は写真パネルにして展示した。同課によると、受領証は赤紙を届ける際、赤紙の右端に本人や家族の署名をもらい、切り取って保管していた部分。同連隊への召集者に宛てたものもある。

 日中戦争開戦当時の1937(昭和12)年のものは紙が鮮やかな赤色だが、5~6年後には染料不足から薄い桃色に変わった。召集対象も、40~41(昭和15~16)年ごろには38歳以上の人、徴兵検査で健康に問題があるとされた人が多くなっている。同課は「太平洋戦争が始まって間もない時期から、物資や人員が不足していたことがうかがえる」としている。

 太平洋戦争に従軍した兵士が市内の家族に宛てたはがきには、自身の子どもに「元気で御勉強なさい」と記してあるが、この兵士はのちに戦死したという。

 同市神明地区にあった同連隊の兵営周辺の、当時と今の写真や地図も展示。当時の建物に沿って現在の道路が造られていたこと、兵営の周囲に多くの商店が立ち並ぶようになったことなどが分かる。

 8、9の両日、午後1時半から同2時まで展示の解説を行う。

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