富山市ガラス美術館と市図書館本館が、同市西町の再開発ビル「TOYAMAキラリ」にオープンし、22日で半年を迎えた。21日までの総入館者数は41万2933人。うち美術館は11万62人で予想の2倍を超えた。周辺施設は「人の往来が増えた」と街への波及効果を実感する。にぎわいを一時的なオープン効果に終わらせないため、両館はリピーターの獲得に力を入れている。(報道センター部次長・村上文美)
両館は昨年8月、市の芸術文化拠点として、中心市街地のにぎわい創出効果も期待し、旧富山大和跡地にできたTOYAMAキラリ内に開館した。冬季に入って人出が鈍ったものの1日平均入館者数は約2千人を維持している。
キラリ斜め向かい側の駐車場「グランドパーキング」は「週末になると歩行者が途切れず、出庫渋滞が起きることもあるほど人が増えた。観光客も目立つ」とし、富山大和も「横断歩道を渡って来店する家族連れが増えた」と話す。
ガラス美術館は3月末までの来館者予測を5万人としていたが、既に2倍以上。渋谷良治館長は「県外や海外からも多くの人に来ていただき、美術館への期待を感じている」と言う。一方の図書館は1月の1日平均貸し出し冊数が前年同月比7%増の1327冊。移転をきっかけに講演会や図書館の裏側を見るツアーなどの企画に力を入れており、橘真理子館長は「イベントに参加したり雑誌を読んだり、滞在型の来館が増えている」と半年を振り返る。
21日はキラリ全館で3308人が入館し、1階ロビーには家族連れ、学生、年配の夫婦、観光客らさまざまな人が行き交った。
子どもを連れて図書館を訪れた富山市中川原の会社員、矢後広志さん(36)は「新館移転をきっかけに、2週間に1度来ている。広い空間で子どもたちも楽しそう」と笑顔。夫婦で初めて訪れた同市内の主婦(48)は「ガラス作品に感動したし空間も広くて気持ちがいい。ただ専用駐車場がなく、駐車料金がかかると思うと気軽には来られない」と話した。
実際に駐車場に関する問い合わせや苦情は多い。両館はアクセス面の不満を払拭(ふっしょく)するため、さらなる魅力づくりに知恵を絞る。渋谷館長は「来館者に、工房の見学や制作体験をしてもらえば、ガラスの魅力をより強く感じてもらえる」とし、富山ガラス造形研究所とガラス工房との連携を模索。橘館長は「さまざまな施設や団体から共同企画の提案がある。ぜひ実現させたい」と意気込んでいる。