2010年に92歳で亡くなった富山ゆかりの水墨画家、岩崎巴人(はじん)さんをしのぶ「追悼・岩崎巴人最期の旅 『奥の細道』北陸路紀行」が22日から、滑川市立博物館で開かれる。同市での交流から生まれた「奥の細道」の作品など約40点を初公開する。主催の同館は「岩崎さんと滑川のつながりを知ってもらいたい」としている。11月27日まで。
岩崎さんは1917年東京生まれ。朝日町の故谷口山郷(さんごう)さんや長崎莫人(ばくじん)さんと「日本表現派」を結成し、躍動的な表現で画壇を風びした。曲折を経て60歳で僧籍に入った後も描き続け、孤高の生き方と独特の作風で知られた。
最晩年、松尾芭蕉の「奥の細道」を制作のテーマに選んだ。滑川市の友人で美術史家・同市立博物館相談役、福井文夫さん(72)が2007年夏、同市を訪れた岩崎さんに提案すると「生涯を懸けた最後の仕事としてやってみたい」と応じたという。
07年秋、岩崎さんが芭蕉の旅路のうち、北陸路を巡って描いた8点を展示する。同市の個人の所蔵品で、荒々しい日本海や、川で転んだ芭蕉などを描き、北陸の風土や芭蕉の人間味に迫っている。福井さんは「画業の集大成。滑川にあることはほとんど知られておらず、市民やファンにぜひ見てほしい」と話す。
滑川で描かれたカッパや風神・雷神などの作品も並ぶ。観覧無料で、22日と11月6日の午後2時から福井さんが講演する。北日本新聞社後援。