越前漆器の海外展開を目指し、産地内の経営者や職人が実践的に商品の研究開発を進める本年度「夜学塾」の第2回講座が10月13日夜、福井県鯖江市うるしの里会館で開かれた。東京芸大の三田村有純名誉教授をはじめ国内外の研究者5人が講義し、開発のポイントを指南した。
新たな成長の矛先として海外販路開拓が急務となる中、越前漆器協同組合が市の委託を受けて昨年度開講した。2期目の本年度は7月1日に第1回があり、講座で得られた知見を基に海外市場へ投入可能な製品を年内に開発する計画。
2期目最終となる今回は約40人が参加した。三田村氏は販路の一つとして照準を定める欧州について、現地の美術館や骨董(こっとう)市などに並ぶ品をスライドで紹介。欧州文化の原点の一つに古代エジプトがあるとし、「黒と金を高貴な色とみている」と色彩感覚を分析した。
オランダで工芸品の保存修復を研究しているデイヴ・バン・ゴッヘルさんは欧州の販路開拓に向け▽現地の人に分かりやすいブランド名を作るべき▽仕事場や製作工程とともに現代の生活に漆器がどのように使われているかをホームページで発信していくことが大切―などの点を指摘した。
講座と平行して進められてきた受講生らの製品開発は既に木地がほぼ完成しており、今後塗り作業に入る。