生酛造りの「岩豊」と醸造責任者の岩崎豊さん=上越市浦川原区

生酛造りの「岩豊」と醸造責任者の岩崎豊さん=上越市浦川原区

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生酛造りの日本酒再現 上越浦川原区・新潟第一酒造

新潟日報(2018年12月12日)

 上越市浦川原区の新潟第一酒造が、伝統的な酒造りの技法「生酛(きもと)造り」に挑戦し、特別純米酒「岩豊(がんほ)」を数量限定で発売した。社内に指導者もマニュアルも存在しない中、醸造担当者が酒造教本などを頼りに完成させた。生酛造りの酒は県内でも珍しいといい、反響が広がっている。

 生酛造りは、江戸期に確立された日本酒の製造工程の中で酛(酒母)の製法の一つ。酒母は日本酒を醸造するために必要な酵母を培養したもので、蔵にすみ着いている乳酸菌を空気中から取り込み生育させる。奥深い味わいになるとされるが、自然培養では安定的な生育は難しく、手間暇もかかるため、現在では醸造用乳酸を人工的に加えることが主流となっている。

 新潟第一酒造では、半世紀近く生酛造りで日本酒を造ったことはなかった。だが、武田良則社長(48)が「先人たちが生み出した技法に挑みたい」との思いを温め続け、醸造責任者の岩崎豊さん(44)に昨秋、話を持ち掛けた。

 とはいえ、同社には生酛造りの技を指導できる人も、マニュアルも存在せず、製造方法も管理方法も分からなかった。

 そこで岩崎さんは酒造教本などを参考に昨年12月に製造を開始。乳酸菌を一から培養するため、酛造りには通常の製法の2倍に当たる約30日を要した。温度管理などコントロールも難しく、岩崎さんは正月返上で毎日、蔵に通った。

 「時間がかかるのは知っていたが、手本がないためどきどきの連続だった」と岩崎さんは振り返る。酒は3月中旬に搾り、瓶詰め後は秋まで安塚区の雪室で貯蔵し、滑らかな味わいに仕上がったという。

 岩崎さんは「無事に完成させることができ、ほっとしている。評判もよく、次もまた頑張ろうという励みになった」と話す。「岩豊」は岩崎さんの名前にちなんで武田社長が命名した。

 岩豊は720ミリリットル入り、1600円(税別)。2千本限定で、主に上越市内の酒店で販売している。問い合わせは新潟第一酒造、025(599)2236。

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