豊酒造(福井県鯖江市)は、福井新聞社などによるクラウドファンディングサービス「ミラカナ」を活用して開発した低アルコール発泡性日本酒の新商品「華燭スパークリング メトードリュラル」を10月1日発売する。味わいは出資者の投票でドライ(辛口)味を採用した。日本酒のイメージを打破する洋風の商品名は、出資者のアイデアで決まった。
県産酒米「五百万石」を100%使用。瓶内で2次発酵を進めて天然のガスを封じ込め、微炭酸の味わいとした。豊酒造が持つ甘酒の高温糖化技術を組み合わせ、短期間で醸造。アルコール度数は5%に抑えた。
出資者と共に作り上げる新商品を目指し、5千円以上を出資した人に「ドライ」「スイート(甘口)」の2種類の試作品を配送し、投票で味を決めた。同時に商品名のアイデアも募り、寄せられた中から県外男性の案を採用した。
「メトードリュラル」とは、南仏など暖かい地域でのスパークリングワインの製法。糖度の高いブドウが取れる南仏では、1次発酵の途中で瓶詰めし、瓶内発酵を進めていく。この製法が今回の新商品と同じだったことや、和訳した「田舎方式」が豊酒造のイメージと重なったことから、商品名に決めた。
ガラス瓶のデザインも当初予定していたとっくり形から変更し、より洋風に近づけた。当初は180ミリリットルサイズだったが、出資者から「すぐ飲みきってしまう」との声が多く、330ミリリットルとした。
構想から5年かけて完成させた杜氏(とうじ)の佐々木克宗さん(31)は「ぜひ若い人に手に取ってもらいたい。日本酒ってかっこいいものなんだと知ってほしい」と話した。
1本750円(税別)。少量限定生産のため、当面は予約販売とする。問い合わせは豊酒造=電話0778(62)1013。