右上から時計回りに上部専用鉄道、仙人谷ダム、インクライン、黒部トンネル専用バスのコラージュ

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黒部ルート携帯OKに 新年度に富山県、基地局設置を調査

北日本新聞(2020年2月13日)

 2024年度に一般開放される関西電力黒部ルートの旅行商品化を見据え、富山県は、ルート内で携帯電話を使えるようにする。電波状態を調べたり、基地局の必要数を検討したりするための費用を20年度予算案に盛り込む。ルートの魅力と満足度のアップに加え、周辺の登山道などで発生する事故・災害時の通信手段確保を目指す。

 黒部ルートは黒部峡谷鉄道の終点、欅平(けやきだいら)と黒部ダムを結ぶ約18キロの物資輸送路。トロッコやインクラインを乗り継ぎ、「高熱隧道(ずいどう)」などを通る電源開発ルートとして人気が高い。

 県が長年、観光振興に欠かせないとして全面開放を求めてきたことを受け、18年10月、関電との間で協定が結ばれ、開放に合意。24年度から、現行の公募見学会の約5倍となる年間最大1万人を受け入れることになっている。

 ただ、欅平駅や黒部ダムだと携帯電話を利用できるが、ルート内や近くの登山道は、ほぼ電波が通じない。国立公園の特別保護地区で、原則的に建築物の設置や土地の形状変更ができないなど、開発が厳しく規制されている。

 携帯電話やインターネットを利用できるかどうかは、観光客の旅行先選びで重要な要素となっており、立山黒部の世界ブランド化に向けて不感地帯の解消は大きな課題。ルート沿いにある黒部峡谷の下ノ廊下で19年、転落死亡事故が相次いだことで、安全・安心の面からも通信手段の確保が必要と判断した。

 国交付金を活用して20年度予算案に1千万円を計上し、現地の電波調査や基地局・アンテナの必要数の検討、設置費用の試算などに充てる方針。開発を規制している環境省や、国有林を管理する林野庁などとの協議も進める。

 21年度にも基地局設置の許可を取り付け、工事に着手したい考え。通信方式の規格は、広範囲をカバーできる現行の第4世代(4G)移動通信システムを想定している。

 ルートの旅行商品化を巡っては、県は20年度、愛称の検討や案内ガイドの養成にも乗り出す。

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