鉄道の日の14日、新潟県糸魚川市大町1の糸魚川ジオステーションジオパルで、かつて市内の工場で活躍したミニSL「くろひめ号」のリニューアル記念式典が行われた。ぴかぴかに塗装された黒光りする車体がお目見えすると、参加者からは感嘆の声が上がっていた。
くろひめ号は全長4・6メートル、幅1・7メートル、高さ2・5メートルで重さは約5トン。1956年に国産最後の産業用蒸気機関車として製造された。石油精製に使う鉱物「白土」の運搬を担い、82年まで工場内や国鉄貨物との積み替え拠点まで、軌道幅61センチの専用線を往来した。
引退後は糸魚川小学校やフォッサマグナミュージアムで展示されていたが、福島県の工場で修繕され、鉄道関連の展示がそろうジオパルに移設された。
式典では、軽便鉄道文化の保存、継承活動を行う羅須地人(らすちじん)鉄道協会代表の角田幸弘さん(64)=千葉県=が貴重な映像とともに、現役当時のエピソードを披露。「運転士さんがとても大切にしたから今がある。糸魚川市の宝になったSLを応援してください」と呼び掛けた。
高校生の頃、大糸線の車内から、小さな機関車が何両もの貨車を引く姿を見ていたという米田徹市長は「ジオパルに鉄道資産の一つとして加わった。拠点施設として交流人口の拡大に役立てたい」と述べた。