戦国武将・明智光秀ゆかりの称念寺(福井県坂井市)と交流を続ける岐阜県の男性が、光秀を献身的に支えた妻熙子(ひろこ)の歌「黒髪伝説~光秀の妻」のCDを制作し、このほど寺に寄贈した。
男性は元岐阜県議会議長で、近年は昨年のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」を契機に光秀の功績を追いかけ、称念寺など全国のゆかりの地を歩き、光秀の生涯をひもとく小冊子「土岐一族 光秀 知られざる実像」を刊行した。
称念寺には黒髪伝説が伝わる。美濃を追われた光秀が、妻熙子を伴って寺に逃れていた際、朝倉家家臣と連歌会を催す機会を住職が設けた。光秀には資金がなかったが、妻の用意した酒肴(しゅこう)で成功し仕官の道が開けた。妻が自慢の黒髪を売って用立てたものだった。
楽曲は夫婦愛に感動した松尾芭蕉が詠んだ「月さびよ 明智が妻の 咄(はなし)せむ」から始まり、「明日の見えない乱世に咲いて一途な桔梗花」「夢が叶った戦国の夜空に光る夫婦星」「おんな命の黒髪を いいえ総てをささげます」などとつづる。
「2人には強い絆があり、熙子の心を愛した光秀を支えた気持ちを表した」という男性。「乱世を生き抜いた夫婦の生きざまから、新型コロナの難局を何とか乗り切ろうという気持ちを持ってもらえたらうれしい」と話している。
称念寺の住職は「CDを通して改めて多くの人に光秀の人柄や黒髪伝説を知ってほしい」としている。
CDを希望する人は週末に称念寺で無料で受け取ることができる。問い合わせは称念寺=電話0776(66)3675。