福井県越前市出身の絵本作家、加古里子さんが生前に愛用したハンチング帽とショルダーバッグが、市かこさとしふるさと絵本館で公開されている。身の回りの物を大切にしていたという加古さんの人柄を伝えている。展示は5月31日まで。
2018年に92歳で死去した加古さんの著作を管理する加古総合研究所(神奈川県)が保管する愛用品で、5月2日の命日に合わせて市内で初めて展示した。
加古さんは黒縁眼鏡とハンチング帽がトレードマークだった。帽子は頭を守るためという実用的な考えで、幼いころから常に身に着ける習慣があった。ハンチング帽は約30点を所有しており、最晩年まで好んで使っていたのがグレーの展示品。創作の原点となるセツルメント(社会奉仕)活動に取り組んだ川崎市の公園を14年に訪ねた際に着用しており、当時の写真を掲載する伝記も並ぶ。
黒のショルダーバッグは、60~70代ごろに中国での講演やエジプト旅行などで使っていた。物を取り出しやすいようにと横長のタイプを購入するよう家人に頼んでいたという。加古さんが名前の頭文字を取って作品に入れていたサイン「さ」の白文字が内側に記されており、愛用ぶりがしのばれる。
愛用品と合わせて、春の企画展として加古さん作品のキャラクターの衣装に着目した複製原画15点を7月11日まで展示。「どろぼうがっこう」に登場するとらえもん先生の派手な羽織、「だるまちゃんとてんぐちゃん」で描かれた帽子や靴などを紹介している。