小さな写真をコラージュした大作が並ぶ会場。西野壮平さん(中央)が制作への思いを解説した=1月28日、福井県あわら市の金津創作の森美術館

小さな写真をコラージュした大作が並ぶ会場。西野壮平さん(中央)が制作への思いを解説した=1月28日、福井県あわら市の金津創作の森美術館

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西野壮平さん写真展、あわら市の金津創作の森で開幕 旅先の風景をコラージュした作品一堂

福井新聞(2023年1月30日)

 国内外の風景を35ミリフィルムカメラで撮り歩き、1万枚を超す旅先の写真を手作業でコラージュする写真家西野壮平さんの大規模個展「アートドキュメント Walk With Me」(福井新聞社共催)が1月28日、福井県あわら市の金津創作の森美術館で開幕した。会場に並ぶ都市や山、川の鳥瞰(ちょうかん)図は数センチ四方の小さな写真の集合体。目を凝らすと、行き交う人の表情や自然美が見えてくる。

 写真をコラージュした代表作「Diorama Map」をはじめとする20シリーズ106点の作品群。東京や京都、知床、別府、ニューヨーク、リオデジャネイロ、イスタンブール...。洋の東西を問わずスナップを撮り歩き、現像し、記憶の断片をつなぎ合わせるように貼り合わせる。そうやって表現された土地土地の鳥瞰図は写真の枠を超えた芸術と評される。

 エベレストや富士登山で撮った山肌や雲海を組み合わせて秀峰の容姿を表したり、イタリアのポー川の水面や流域の風景をつなぎ合わせて悠々たる大河を再現したりと、スケールの大きさに目を奪われる。

 本展のため撮り下ろした「北陸道」は東尋坊や三国祭、白波立つ日本海や咲き乱れる水仙など福井の四季を捉えた1万枚余のコラージュ。東京から京都まで撮り歩いた大作「東海道」もある。来場者は作品に近づいて細部を凝視したり、離れて俯(ふ)瞰したりを繰り返していた。

 同美術館館長で写真家の土田ヒロミさん(南越前町出身)との対談もあった。土田さんは大阪芸大元教授で、同大在学当時の西野さんの恩師。教え子の作品について「関心が向いた被写体は枚数が多く、大きく写っている。光学的な遠近感ではなく、撮影者の体験を伴う心の遠近感が表現されている」と評した。

 西野さんは「若い頃は新陳代謝を繰り返す都市に自分を重ねた。(隅田川やハドソン川など)街には人々を潤す川が存在すると気付くと、撮影対象が(川や山、海など)自然環境へと広がった」と振り返った。

 3月5日まで(月曜休館)。1月29日午前11時から西野さんのギャラリートーク、2月12日午後2時から写真家石川直樹さんとの対談がある。

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