立山町芦峅寺地区の住民有志でつくる一般社団法人「芦峅活性化協議会」(佐伯滋代表理事)が、地元産のホップと湧水を使ってクラフトビールを商品化した。休耕田を活用した取り組みの一環で、5月の大型連休ごろから売り出し、新たな「芦峅寺ブランド」の定着を目指す。
高齢化や鳥獣被害に悩む地区の活性化につなげようと、芦峅活性化協議会は、サルによる食害被害を抑えられるとして、ビールに苦みと香りを付けるホップに着目。クラフトビールの特産化を目指し一昨年から栽培と試作に取り組む。
ホップは、立山・芦峅ふるさと交流館隣の畑で、香りが強い品種「カスケード」と苦みが強い国産品種「ソラチエース」を栽培し、2022年は12キロ収穫した。集落の高齢者3人も栽培に協力した。クラフトビールの販売に向けて同協議会は昨年12月、一般社団法人化し、酒類販売管理者の届け出を済ませた。
商品名は「TATEYAMA ASHIKURAJI Craft Beer」。330ミリリットルの瓶入りで、「オオヤブラッスリー」(富山市婦中町長沢)に生産委託して計千本造る予定。価格は1本700円。ラベルは集落への移住者がデザインを手がけた。大型連休ごろから立山黒部アルペンルート立山駅に向かう県道沿いの芦峅ふるさと交流館で販売し、山小屋での提供も目指す。
今年はホップの栽培面積を広げ、収穫したホップの買い取りも行う。地区の高齢者の収入にもつなげるため、さらに栽培の輪を広げていく。将来、地区に醸造所を整備するのが目標で、佐伯代表理事は「特産化を成功させ、活性化と住民の生きがいづくりにつなげたい」と話した。