雄島祭りを4月20日に控え、「モッコ刺し」があしらわれた法被を披露する男衆=福井県坂井市三国町安島

雄島祭りを4月20日に控え、「モッコ刺し」があしらわれた法被を披露する男衆=福井県坂井市三国町安島

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坂井市三国町・大湊神社の例大祭「雄島祭り」4月20日開催 伝統のモッコ刺し法被が復活

福井新聞(2023年4月18日)

 福井県坂井市三国町の大湊神社の例大祭「雄島祭り」が4月20日、同町安島区一帯で行われる。新型コロナウイルスの感染拡大で、舟みこし登場は4年ぶり。今年は舟みこしを担ぐ男衆の多くが、三国町地域に長く伝わる刺し子(刺しゅう)「モッコ刺し」をあしらった法被を羽織る。6年前にモッコ刺しの法被が地元女性の手によって復活、毎年法被数を増やし、祭りの安全を願いながら縫い込んだ"祈りの刺し子"法被は大幅に増え22着となる。

 モッコ刺しは、古くから沿岸部の海女たちが作業着の補強や保温のために多用しており、目の細かい独特の幾何学模様が特徴。終戦前後から刺し子技術が途絶えたという。2017年に、約70年ぶりにモッコ刺しを復活させた有志が、普及と伝承のために「安島モッコの会」を設立、同年の祭りでモッコ刺しの法被を初披露した。

 30~70代の安島出身女性ら約20人が法被を1人1着を受け持ち、祭りが近づく11月ごろから刺し子に専念。コロナ禍に見舞われみこしは中止となっていたが法被は作り続けたため、法被の数は一気に増えた。

 法被には同じ模様は一つとなく、肩や袖、安島区青年団の「青」の字など、刺しゅうが施されている場所もさまざま。みこしをかついだ際に擦れたり、狭い路地を通る時に支え合うため引っ張ったりと、消耗が激しいため、毎年補強するとともに新しいデザインを加えている。法被の裾には縫い手の女性の名前が刺しゅうされている。

 青年団長専用のえんじ色の法被を着る男性は「待ちに待った祭り。法被を着ると気合が入るし、モッコ刺しで愛着も湧く」と話し、別の男性は「復活した伝統の技を法被という形で残せるのは素晴らしい。4年ぶりの祭りを大成功させたい」と気合十分。

 モッコ刺しを復活させた同会会長は「歴史ある技術と現代のデザインを掛け合わせることで、若い人にもモッコに興味を持ってもらいたい。祭りの伝統とともに、後世に伝えていけたら」と願った。

 雄島祭りは、舟みこしは当日午前11時ごろ、大湊神社を出発、東尋坊や雄島、安島区内を巡り、夕方にはみこしを担ぎながら海に入る。

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