副区長(左)に絵馬を手渡す永平寺町歴史研究会のメンバー=4月18日、福井県永平寺町松岡上吉野の権現神社

副区長(左)に絵馬を手渡す永平寺町歴史研究会のメンバー=4月18日、福井県永平寺町松岡上吉野の権現神社

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吉野ケ岳の権現神社に絵馬奉納 江戸期の風習「次世代に」

福井新聞(2023年4月19日)

 福井県永平寺町にある越前五山の一つ、吉野ケ岳(547メートル)の蔵王大権現を祭る権現神社に18日、地元の永平寺町歴史研究会のメンバーが絵馬を奉納した。神社は江戸時代に地元住民が絵馬を奉納する風習があったとされ、伝統を守り継いだ同研究会の会長は「参拝者が絵馬を見て、約300年前の風習を知り、地域の歴史に興味を持ってほしい」としている。

 泰澄大師が開山したとされる吉野ケ岳は、山頂付近に権現神社があり、古くから白山信仰の拠点として地域住民を中心に信仰を集めている。同研究会などによると、江戸時代、福井城下の絵馬工房「夢楽洞(むらくどう)」が制作した絵馬を、旅での無事を感謝するため地元の神社に奉納するのが嶺北各地で流行していたという。権現神社にも奉納された絵馬が多く残されており、同工房が江戸時代中期に制作したとされる最古の絵馬も現存しているという。

 永平寺町の歴史愛好家ら15人ほどでつくる同研究会は、昨年5月の公民館講座をきっかけに権現神社の絵馬奉納について調査。メンバーは、実際に神社を見学するなどし最古の絵馬や絵馬奉納の風習があったことを知り、「風習を次世代に伝え残したい」(会長)と奉納を計画した。

 制作した絵馬は縦45センチ、横60センチの木製で、白馬を中央に大きくデザイン。新型コロナウイルス禍の収束やロシアのウクライナ侵攻の終結を願い「疫病退散」「世界平和」の文字を書いた。

 この日は、年に一度の神社の神事に先立ち、同研究会のメンバーが、神社を管理する地元の上吉野区自治会の副区長に絵馬を手渡した。神事では読経が行われ、絵馬も神前に供えられた。会長は「絵馬を見た人がこの神社の歴史に思いをはせるきっかけになってほしい」と願い、副区長は「地元を大切にする思いが伝わった。大変うれしい」と話した。奉納された絵馬は今後、神社に飾られる予定。

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