開幕を待ちわびた美術ファンが足を運んだ第9回日展富山展=県民会館

開幕を待ちわびた美術ファンが足を運んだ第9回日展富山展=県民会館

富山県 富山・八尾 祭り・催し

ファン続々 美と対話 日展富山展、一般公開始まる

北日本新聞(2023年4月22日)

 国内最大級の総合美術展・日展の巡回展「第9回日展富山展」が21日、富山県民会館で始まった。新型コロナウイルス感染拡大による中止を経て4年ぶりの開催とあり、開幕を待ちわびた美術ファンでにぎわった。気鋭の作家たちによる最新作がずらりと並び、来場者は美との対話をじっくりと楽しんだ。5月7日まで。

 日展は日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門から成る公募展。富山展では昨年秋に東京で開かれた本展からえりすぐった作品に、県内作家の力作を合わせた約270点を飾る。

 午前10時に開場すると、夫婦や家族連れが続々と来場。作品に近づいたり、少し離れて広い視野で眺めたりしながら鑑賞した。

 趣味で木彫りの仏像を制作する砺波市の谷村正雄さん(79)は「大病を経て再び日展を見に来られて幸せ。生命力を感じる彫刻作品に元気をもらった」と目を潤ませた。工芸美術の展示をゆっくりと見て回った射水市の長谷川達夫さん(73)、二美子さん(71)夫婦は「色鮮やかな作品、空や宇宙を題材にした作品などが多く、希望を感じさせる」と話した。

 射水市鷲塚(小杉)の主婦、萩野智子(さとこ)さん(44)は、特選を受賞した高森絢子さん(工芸美術、石川)の陶芸作品「愛燦燦(さんさん)」に見入り「人の愛を文字と丸みのある造形で表現していて、作者の思いが伝わってくる」と感心した。

 今回から一部の作品に添えられたQRコードをスマートフォンで読み取ると、作家の言葉や講評を見られるようになり、スマホを片手に会場を巡る人も。洋画の解説を読んでいた入善町下飯野の塚田京子さん(71)は「好きな作品の説明を手元でぱっと見られて便利」と笑顔を見せた。

 会場の作品は一部を除いて自由に写真撮影でき、営利目的でなければ交流サイト(SNS)への投稿も許可されている。気に入った風景画にカメラを向けた富山市太郎丸の室山時子さん(77)は「家に帰ってから何度も見返せるのでうれしい。友達にも見せてあげたい」とほほ笑んだ。

 開場時間は午前10時から午後6時(入場は午後5時半まで)。公益社団法人日展、日展富山会、県民会館、北日本新聞社主催。

えきねっと びゅう国内ツアー

富山・八尾 ニュース