新潟県湯沢町三国の苗場スキー場で、国内最大級の野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」が７月２８〜３０日に開かれる。今年は国内外のアーティスト約２００組が出演し、来場者１０万人超えを目指す。新型コロナウイルスの感染拡大による全面中止や規模縮小を経ての４年ぶりの通常開催に、ファンや地元の観光関係者の期待が高まっている。

　フジロックは野外フェスの先駆けとして１９９７年に山梨県の富士山麓で始まった。翌年の東京・豊洲開催を経て、９９年から苗場に会場を移した。毎年１０万人以上が訪れる夏の一大イベントとなり、開催期間中は湯沢町内にある約２３０の宿泊施設がほぼ満員となるなど、経済効果は大きい。

　だが、昨年までは新型ウイルス感染拡大の影響を受けた。２０２０年は初めて全日程が中止となった。出演者を国内に限り、ステージ数も 減らした２１年は来場者が約３万５千人にとどまり、マスク着用や検温、酒類持ち込み禁止など感染対策を続けた２２年の来場者は約６万９千人だった。

　主催するスマッシュ（東京）は、５月下旬に湯沢町役場で開かれた関係者の協議会の席上で「４年ぶりの通常開催で、ようやく戻ってくるという大きな期待がある」とした。新型コロナウイルス感染症の５類移行で旅行熱が高まっていることもあり、チケットの売れ行きも好調だという。

　今年は矢沢永吉さんやＥＬＬＥＧＡＲＤＥＮら総勢２００組が出演予定で、ＬＩＺＺＯ、ＦＯＯ　ＦＩＧＨＴＥＲＳなど海外アーティストもメインステージの６、７割ほどを占める。

　通常開催に戻ることで、昨年まで求めていたマスク着用、検温、感染拡大防止のためのフジロック公式アプリ登録などは求めない。酒類の持ち込みも解禁する。

　ただ、協議会では、昨年３件の救急出動があったと南魚沼市消防本部から報告があった。野外イベントであるため、熱中症に注意することや過度な飲酒を控える取り組みを求めた。

　スマッシュの小川大八代表取締役社長は「長い新型コロナウイルス禍を耐えて関係者の絆も深まった。子どもたちなど次の世代につなぐ新たなフジロックをつくっていきたい」と語った。

　湯沢町企画産業観光部の南雲剛部長は「今年も既にキャンセル待ちの宿も多く、地域経済に大きな影響を与えているイベントだ。多くの方に訪れて楽しんでもらいたいが、お酒の飲み過ぎには気をつけてもらいたい」と話した。