富山県入善町下山芸術の森発電所美術館で8日、木造の巨大アートに搭乗できる新感覚の展覧会「ANEMOI 井口雄介展」が始まった。作品に乗ってペダルをこぐとプロペラが回って回転する仕組み。訪れた人たちは歓声を上げ童心に帰って楽しんでいた。会期は9月24日まで。
入善町合併70周年記念事業として町文化振興財団が開催。作品は現代美術作家の井口雄介さん(38)=埼玉県所沢市=が手がけた。井口さんは武蔵野美術大で建築や彫刻を学んだ。鑑賞者が巨大な作品に登ったり動かしたりできる参加型の展覧会を催してきた。大学時代のゼミ旅行で発電所美術館を訪れたことがあり「いつかこの空間を目いっぱい使って自分の作品を展示したい」との思いを抱いていたという。
作品は12メートル四方で高さ6メートルに及ぶ。杉や松をふんだんに使い、展示空間には木の香りも漂う。井口さんは「見るだけではなく、実際に乗って動かし『面白い』『怖い』などいろんな感覚を味わってみて」と呼びかける。
この日知人と訪れ、搭乗体験した富山市のデザイナー、宮田裕美詠さんは「楽しいのと怖いのと半々。作品と一体感があった」と興奮気味に話した。
搭乗にはある程度の脚力が必要なため、対象は原則高校生以上で体重は100キロ以下。入館料とは別に体験料として200円が必要(缶バッジ付き)。月曜休館で作品のメンテナンス時は搭乗できないこともある。