厨子に収められた不動明王立像

厨子に収められた不動明王立像

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寺宝の不動明王立像を一般公開 上市の大岩山日石寺

北日本新聞(2023年10月3日)

 「大岩のお不動さん」として親しまれる真言密宗大本山・大岩山日石寺(上市町大岩)は、所蔵する「木造不動明王立像」の一般公開を始めた。像を安置する収納具「厨子(ずし)」も見学できる。厨子には葵の紋が付いており、加賀藩3代藩主前田利常の正室で江戸幕府2代将軍・徳川秀忠の二女の天徳院が、こし入れした際の念持仏(ねんじぶつ)である可能性があるとされる寺宝。中田弘乘(こうじょう)管長は「昭和42年の火災で唯一持ち出され、焼失を免れた寺宝。多くの人にお参りいただきたい」と話している。

 大岩山日石寺は磨崖仏(まがいぶつ)や滝行が有名。参道の茶屋や旅館のそうめんも名物で、多くの観光客が訪れる。ご本尊の磨崖仏の不動明王は国指定重要文化財で、平安時代に剱岳とその周辺に不動明王信仰があったことを裏付ける存在。脇に彫り加えられた阿弥陀如来座像があり、剱岳信仰と立山信仰の関わりもうかがえる。

 一般公開は、2025年8月の開基1300年に合わせて中田管長が企画。木造不道明王立像(高さ93センチ)と厨子(高さ145センチ、幅63センチ、奥行き50センチ)は、立山博物館の23年度特別企画展でも紹介された。

 博物館によると、像の台座や厨子には精巧な装飾が施され、葵紋がいくつも配されている。厨子の葵紋は3枚の葉がそれぞれ異なる意匠で、江戸初期の徳川家の姫の婚礼調度品に共通する。3代将軍家光の長女千代姫の「初音調度品」は、国宝指定されている。

 日石寺は利常の嫡孫出生の祈祷に霊験があったとして、加賀藩の加護を受けてきた。寺には天徳院ゆかりの誕生石も伝わる。博物館は像と厨子が、天徳院が前田家に嫁いだ際の調度品である可能性も考えられるとしている。

 中田管長は「再来年に開基1300年を迎える。これまであまり知られていない寺の歴史も感じていただきたい」と話す。

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