1日1組(大人2人まで)限定のアウトドアステイ施設「sora umi tovila(ソラ ウミ トヴィラ)」が今春、新潟県柏崎市西山町大崎にオープンした。キャンプとグランピングを同時に楽しむことができる融合施設で、女性が安心して滞在しながらリゾート感を満喫できるよう、プライバシーやセキュリティーの確保に配慮されている。秋を迎え、女性キャンパーを中心に利用が伸びている。
この施設をつくったのは長岡市の美容師、小林直樹さん(54)。小林さんはアウトドアや海が好きで、50歳の節目を機に暮らす海辺の別荘を探していたところ、この地と出合った。海を臨む高台のロケーションが気に入り、「せっかく建てるなら自分のためだけではなく、他の人にも利用してもらいたい」と融合施設を建てることにした。
自身が経営する美容室「angeliQue」の女性客とキャンプ場について話すと「トイレやシャワーが汚くて嫌だ」「1人だとトラブルがあった時に心配」などという声が聞こえてきた。そこで女性客でも安心して楽しめる施設をコンセプトに据えた。
完成した施設は60坪の土地にキャンプスペースとグランピング用の宿泊棟などを整備。宿泊棟はアウトドアの武骨さを出そうと、あえてコンテナを使用した。ただ、その外観と内装は白を基調としてリゾート感を演出。コンテナは2人用のベッドルームとし、冷暖房、シャワールーム、Wi-Fiなどを整備した。
騒音やトラブルの心配をせず、利用者に静かな時間を過ごしてもらいたいとの考えから、1日1組限定とした。防犯対策やプライバシーにも配慮し、外から中が見えないよう、キャンプスペースをコンテナでL字型に囲うように設置。内鍵やセキュリティーカメラも付けた。
小林さんは「美容師だからこそ色んな方の意見を取り入れ、キャンプとグランピングの利点を融合した女性ファーストの施設ができた」と振り返る。
9月中旬に施設を利用した柏崎市の女性会社員(47)は「ソロキャンプはやってみたくても、他人に声をかけられたりしたらどうしようと不安があった。ここなら気負わずに利用でき、素晴らしい景色を独り占めできる」と喜ぶ。
オープン当初は認知度不足もあったが、夏ごろから徐々に口コミやSNSで評判が広がり、女性客やカップルを中心に県内外から予約が相次いでいる。10月までは週末が予約でほぼ埋まっている状況だ。
プランは、ベッドルームに宿泊してキャンプ道具を完全レンタルできる「ヴィラステイ」と、道具を持ち込んで施設内でキャンプ泊をする「キャンプステイ」の二つ。オープン当初は素泊まりプランのみだったが、今秋から食事付きプランも設けた。今後はランチタイムの場所レンタル、アロマセラピーの施術なども考えている。
小林さんは「高台から海を眺められる立地を生かしながら、女性に楽しんでもらえる施設を目指したい」と意気込んでいる。